令和7年度 下期 学科試験 問20 解説 高圧受電設備の保護
高圧受電設備の短絡保護装置として、適切 な組合せは。
- イ. 過電流継電器 高圧柱上気中開閉器
- ロ. 地絡継電器 高圧真空遮断器
- ハ. 地絡方向継電器 高圧柱上気中開閉器
- ニ. 過電流継電器 高圧真空遮断器 ✓ 正答
解説
短絡保護装置として適切なものは、「過電流を検知する機能(過電流継電器)」と「高い遮断能力を持つ開閉器(真空遮断器)」がセットになったものを選びます。したがって、選択肢ニが正解となります。
短絡保護の仕組みと役割
電気回路において、短絡(ショート)が発生すると、通常時とは比較にならないほどの巨大な電流が流れます。この異常電流を放置すると機器の焼損や火災を引き起こすため、速やかに回路を切り離す必要があります。
保護には「検知」と「遮断」の2つのプロセスが不可欠です。
- 検知:過電流継電器(OCR)などが電流の大きさを監視し、定格を超えた異常な電流を感知します。
- 遮断:遮断器(VCB等)が、その巨大な短絡電流を安全に消弧(アークを消すこと)し、回路を物理的に切断します。
この「検知」と「遮断」のどちらか片方が欠けても保護装置としては機能しません。
選択肢の判断プロセス
この問題は、各デバイスの役割を理解しているかを問うています。
- 過電流継電器(OCR):短絡や過負荷を検知する役割。
- 高圧真空遮断器(VCB):高い遮断能力を持ち、真空中でアークを消すため、高圧回路の遮断に適した装置。
- 高圧柱上気中開閉器(PAS):主に配電線側で使用され、遮断能力は限定的です。短絡電流のような大きな電流を遮断するための設備ではありません。
- 地絡継電器(GR)・地絡方向継電器(DGR):これらは「地絡(漏電)」を検知するものであり、短絡保護が主目的ではありません。
これらの知識を組み合わせると、過電流を検知できる「過電流継電器」と、確実に遮断できる「真空遮断器」の組み合わせである「ニ」だけが、短絡保護という目的に合致していることがわかります。
実務における保護協調の考え方
高圧受電設備において、短絡保護は単に遮断するだけでなく、事故の影響範囲を最小限に抑える「保護協調」という考え方が重要です。もし構内で短絡が発生した場合、受電点にある遮断器が動作する前に、故障箇所に近い機器が先に遮断するように設定することで、工場やビル全体が停電するのを防ぐことができます。
試験問題としては遮断能力の有無という基本的な知識が問われていますが、現場では真空遮断器の特性だけでなく、継電器の動作時間特性を調整して、いかに効率よく事故区間を切り離すかという設計思想が必要になります。