令和6年度 下期 学科試験 問32 解説 高圧受電設備の構成
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物内の高圧受電設備を表した図である。 この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
第一種電気工事士試験における自家用電気工作物の単線結線図読解において、機器の役割を特定するには「電力の流れ」と「保護の仕組み」を順序立てて追うのが最短の解き方です。
機器の配置と役割を特定する思考法
この図では、電力会社側の配電線から受電設備までの流れが示されています。まず、電力会社から引き込まれた直後の地点にあるのが受電点です。
(1)の位置は、電柱上に設置された「GR付PAS(高圧交流負荷開閉器)」です。これは、構内で事故が発生した際、電力会社側の配電線へ波及事故を及ぼさないための保護装置として機能します。
次に(2)は、建物外壁に沿って設置されている「高圧引込ケーブル」を保持するための部材を指しています。高圧ケーブルは自重や風圧に耐える必要があるため、適切な間隔で固定しなければなりません。
(3)は、地中を通るケーブル保護のための管路部分です。
(4)の主遮断装置周辺には、電圧や電流を計測するための変成器(VCT)や、力率改善のための進相コンデンサ(SC)、直列リアクトル(SR)が配置されています。
(5)は、これら一連の機器を収めた金属製の筐体、すなわちキュービクル(高圧受電盤)全体を指します。
このように、図を「受電側から構内へ」という流れで追い、それぞれの機器がどの役割(保護・計測・変圧・開閉)を担っているかを分類することで、選択肢の正誤を瞬時に判断できます。
高圧受電設備の構成要素という考え方
この問題は、単に名称を覚えているかを聞いているのではなく、高圧受電設備がどのような機能ブロックの集合体であるかを理解しているかを問うています。
試験においては、以下の3つの役割分担を意識してください。
- 受電・保護の役割:PAS、避雷器(LA)、断路器など。電力会社と構内の境界を守る。
- 計測・制御の役割:VCT(計器用変成器)、配電盤の遮断器など。電気の品質と供給量を管理する。
- 変圧・動力の役割:変圧器(T)や力率改善設備。構内で利用可能な電圧・品質に変換する。
試験対策としては、単線結線図の図記号だけでなく、それぞれの機器が「何から何を守るのか」「なぜそこにあるのか」という物理的な制約を理解することが、合格後の実務においても不可欠なスキルとなります。
この知識が役立つ実務現場
この問題で問われる「機器の名称と役割」は、キュービクルのメンテナンスや定期点検の現場で最も基本的な知識です。例えば、PASがなぜ電柱の上にあるのかを理解していれば、波及事故時の調査や復旧の手順を論理的に組み立てることができます。また、高圧ケーブルの支持方法を知ることは、長期的な経年劣化対策を考える上でも避けては通れない知識です。
試験対策としてだけでなく、将来的な保安管理業務の基礎体力として、図中の全ての機器の役割を自分の言葉で説明できるようにしておくことをお勧めします。