令和5年度 学科試験 問32 解説 計器用変流器(CT)
③に示す機器(CT)に関する記述として, 不適切なものは。
- イ. CTには定格負担(単位[V・A])が定められており,計器類の皮相電力[V・A],二次側電路の損失などの皮相電力[V・A]の総和以上のものを選定した。
- ロ. CTの二次側電路に,電路の保護のため定格電流5Aのヒューズを設けた。 ✓ 正答
- ハ. CTの二次側に,過電流継電器と電流計を接続した。
- ニ. CTの二次側電路に,D種接地工事を施した。
解説
この問題の判断根拠は、計器用変流器(CT)の二次側回路には絶対に遮断器(ヒューズやスイッチ)を設けてはならないというルールです。CTの二次側を開放すると極めて高い電圧が発生し、機器の破損や感電、火災の原因となるため、常に閉回路を維持しなければなりません。
CTの二次側を開放してはいけない理由
CTは一次側に流れる大きな電流を、定格である5Aや1Aといった小さな電流に変換して計測器や保護継電器に供給する機器です。この際、CTの二次側回路が開放されると、一次側の電流がすべて磁束を励磁するために使われてしまいます。これにより鉄心内部で磁束が急激に飽和し、二次側に高電圧が誘起されます。この電圧は数千ボルトに達することもあり、絶縁破壊や人体への危険を招くため、回路を開放する可能性のあるヒューズなどの設置は厳禁とされています。
選択肢の検討と正しい設置ルール
イは正しい記述です。CTの定格負担(VA)は、二次側に接続される計器の皮相電力と、接続電線の抵抗による損失(電圧降下)の合計以上である必要があります。 ロが不適切な理由です。先述の通り、二次側を遮断する可能性があるヒューズは絶対に設けてはいけません。 ハは正しい記述です。CTの目的は電流の測定と過電流の保護であるため、電流計や過電流継電器(OCR)を二次側に直列に接続することは一般的です。 ニは正しい記述です。CTの二次側回路には、万が一の絶縁不良による感電事故を防止するため、D種接地工事を施す必要があります。これは計器や継電器の保護だけでなく、作業者の安全を確保するために必須の措置です。
現場における安全確保の考え方
電気主任技術者や電気工事士として現場に従事する際、CTの二次側回路を扱うときは極めて慎重な対応が求められます。もし計器の交換などで一時的に二次側を切り離す必要がある場合は、必ず事前に二次側を短絡するための専用端子(短絡バーなど)を用いて回路を短絡させてから作業を行います。この「二次側開放禁止」のルールは、現場において命を守るための最も重要な基本知識の一つです。試験においても、このルールを理解しているかが問われます。