第一種電気工事士試験 / 令和5年度 学科試験 / 問21
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令和5年度 学科試験 問21 解説 調相設備の定義

次の文章は,「電気設備の技術基準」で定義されている調相設備についての記述である。「調相設備とは,[ ]を調整する電気機械器具をいう。」 上記の空欄にあてはまる語句として,正しいものは。

  1. イ. 受電電力
  2. ロ. 最大電力
  3. ハ. 無効電力 ✓ 正答
  4. ニ. 皮相電力

解説

空欄の判断基準

この問題は「調相設備」の定義を問う暗記項目です。「調相(ちょうそう)」という言葉に含まれる「相」が電気回路における無効電力と深い関わりがあることを結びつけます。選択肢の中で電力の種類を問うているため、電圧や力率の調整に直結する無効電力を選びます。

調相設備が調整するもの

電力系統において「調相」とは、電圧の維持や力率の改善を目的として、無効電力をやり取りすることを指します。

交流回路には、抵抗で消費される有効電力と、負荷(コイルやコンデンサ)との間でやり取りされる無効電力の二種類が存在します。特に工場やビルなどの負荷には誘導性負荷(モータなど)が多く、これらは遅れ無効電力を消費します。この遅れ無効電力が多いと送電線の電圧降下が大きくなったり、力率が低下して送電効率が悪くなったりします。

そこで、これらを打ち消すために進み無効電力を供給するコンデンサや、状況に応じて進み・遅れの両方の無効電力を制御できる同期調相機を設置します。これらを総称して「調相設備」と呼びます。

なぜ無効電力なのか

この問いを解くためには、電力の三要素を整理しておくことが重要です。

・有効電力: 熱や仕事に変換される電力(単位: W) ・無効電力: 回路と電源の間を往復するだけで消費されない電力(単位: var) ・皮相電力: 有効電力と無効電力を合成した全体的な電力(単位: VA)

調相設備の役割は、電力系統の「電圧の安定」です。電圧は無効電力の不足や過剰によって変動します。無効電力を補給すれば電圧は上がり、吸収すれば電圧は下がります。このように無効電力を調整することで、系統全体の品質を保っているのです。

実務における調相設備の役割

第一種電気工事士が現場で扱う高圧受電設備において、力率改善は非常に重要な業務の一つです。高圧負荷には進相コンデンサが設置されますが、これはまさに調相設備の一種です。

例えば、受電設備が遅れ力率である場合、電力会社から受ける電力量に占める無効電力の割合が増え、電気料金の割引(力率割引)が適用されないばかりか、最悪の場合は力率割増を受ける可能性があります。また、コンデンサを設置して力率を改善することで、トランスや配線の電流負担を減らし、設備全体の効率的な運用が可能になります。

試験では「調相設備=無効電力の調整」というキーワードをセットで記憶し、電力系統の安定化と力率改善という実務上の目的と結びつけておきましょう。

参考リンク

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