令和5年度 学科試験 問13 解説 りん酸形燃料電池
りん酸形燃料電池の発電原理として、 正しいものは。
- イ.
- ロ. ✓ 正答
- ハ.
- ニ.
解説
燃料電池の問題を解くための最短ルートは、燃料電池が「電気エネルギーを外部へ取り出す装置」であることを理解した上で、投入する「燃料(水素)」と「酸化剤(酸素)」の場所を見極めることです。
本問のような図を見る際は、以下の2点をチェックします。
- 負極(-)には必ず燃料である水素()が供給される。
- 正極(+)には必ず酸化剤である酸素()が供給される。
このルールに照らせば、選択肢ロだけがこの条件を満たしています。
燃料電池が発電する仕組み
燃料電池は、化学反応によって生じる電子の流れ(電流)を直接電気として取り出す仕組みです。りん酸形燃料電池の内部では、以下のような化学反応が起こっています。
負極側では、供給された水素が電子を放出して水素イオンとなります。
一方、正極側では、供給された酸素と、電解質を通ってきた水素イオン、そして外部回路を通ってきた電子が反応して水が生成されます。
この反応の結果として、負極からは電子が放出され、正極では水が生成されるという物理的な流れが生まれます。したがって、図において正極側から生成物である水()が出ていく形になっているものが正解となります。
正解を導き出すための思考プロセス
選択肢を吟味する際は、まず入り口(投入ガス)に注目します。
- 負極に、正極にが入っているのはどれか? これだけでロとハに絞られます。次に、出口(生成物)を確認します。
- 水素と酸素が反応してできるのは水()であるため、出口からが排出されているのはロになります。
このように、化学反応式を完璧に暗記していなくとも、「水素と酸素を入れて、水が出てくる」という大枠のイメージがあれば、消去法で確実に正解に辿り着けます。
実務や社会における位置づけ
この知識は、単なる試験対策にとどまらず、将来的に分散型電源やコージェネレーションシステム(熱電併給)を扱う際に不可欠な基礎概念です。りん酸形燃料電池は、他の燃料電池と比較して、比較的古くから商用化されており、ビルや病院などの非常用電源、あるいは都市ガスを利用した定置型発電システムとして活用されています。
試験で問われるのは基本的な反応原理ですが、実務の現場では、排熱をどのように利用するのか、あるいは供給される水素の純度や燃料源のガス改質といった周辺技術への理解が必要となります。構造を模式図で理解しておくことは、システム全体を俯瞰してメンテナンスや運用を考える際のベースとなります。