令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問35 解説 D種接地工事
「電気設備の技術基準の解釈」において、 D種接地工事に関する記述として、誤って いるものは。
- イ.D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下でなければ、D種接地工事を施したものとみなされない。 ✓ 正答
- ロ.接地抵抗値は、低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω以下であること。
- ハ.接地抵抗値は、100Ω以下であること。
- ニ.接地線は故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
解説
D種接地工事の接地抵抗値は原則として100Ω以下です。例外的に、0.5秒以内に地絡を検知して電路を遮断できる装置がある場合は500Ωまで緩和されます。選択肢イにある「10Ω以下」という規定は存在しないため、これが誤りとなります。
D種接地工事の基本ルール
電気設備技術基準の解釈において、D種接地工事は、低圧電路の漏電による感電防止などを目的として行われます。ここで押さえておくべき数値は以下の2点です。
原則:100Ω以下 緩和条件:0.5秒以内に自動遮断する装置を施設する場合、500Ω以下
選択肢ハの「100Ω以下であること」は原則を述べており、選択肢ロの「500Ω以下であること」は緩和条件を述べています。これらは技術基準の内容と合致するため正しい記述です。一方、選択肢イは架空の基準値を持ち出しており、誤りであることがわかります。
誤答を見抜くための思考プロセス
試験問題を解く際は、まず「数値が書いてある選択肢」に注目します。接地工事にはA種、B種、C種、D種と種類があり、それぞれ適用される接地抵抗値が異なります。
- 問題が「D種接地工事」について問うているかを確認する。
- D種接地工事の基本数値(100Ω)と緩和条件(500Ω)を思い出す。
- 選択肢の中に、これらの数値以外が含まれていないかを確認する。
- 今回の場合、イの「10Ω」という数値がルールに存在しないため、迷わずこれを「誤り」と判断する。
このように、数値のルールが明確な項目については、数値を正確に暗記できているかが合否を分けるポイントとなります。
実務現場における接地抵抗の意味
この知識は、実際の電気工事の現場で安全を確保するために不可欠です。接地抵抗は、いわば「漏電した電気をどれだけスムーズに大地へ逃がせるか」を示す値です。
抵抗値が低いほど電流は流れやすくなるため、本来は低い方が安全です。しかし、すべての場所に非常に低い接地抵抗(例えば10Ω以下など)を求めることは、掘削作業や接地極の増設コストの面から現実的ではありません。
そのため、技術基準では「現実的なコストで安全を担保できる数値」として100Ωを設定し、さらに「万が一の際は短時間で電気を止める」という保護協調の技術を用いることで、高い抵抗値(500Ω)でも許容するという合理的な考え方をとっています。試験で問われる数値は、単なる暗記項目ではなく、現場の安全性と経済性のバランスを考慮して決められたルールであることを理解しておきましょう。