令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問7 解説 単相3線式の断線事故
図のような単相3線式電路(電源電圧 210/105V)において, 抵抗負荷A 50Ω, B 25Ω, C 20Ωを使用中に, 図中の×印点P で中性線が断線した。断線後の抵抗負荷Aに 加わる電圧[V]は。 ただし, どの配線用遮断器も動作しなかっ たとする。
- イ. 0
- ロ. 60
- ハ. 140 ✓ 正答
- ニ. 210
解説
中性線が断線したことで、電圧の基準点である中性点(0Vの基準)が失われます。この結果、回路は本来の105V回路ではなく、210Vの電圧を負荷Aと負荷Bで分け合う「直列回路」へと姿を変えます。負荷Aにかかる電圧は、分圧の法則を用いて以下の手順で求めます。
回路の変化を読み解く
単相3線式回路は、中性線によって電圧がバランスよく供給される仕組みです。しかし、中性線が断線すると、中性線を介して電源に戻っていた電流の通り道が絶たれます。図の回路において、負荷Aと負荷Bは上下の電線(電圧線間)に直列に接続された状態となります。負荷Cについては、今回の問題の条件下では負荷A・Bの直列回路とは別のループを構成することになりますが、電圧を求める上では負荷AとBの合成抵抗を直列接続として計算することが重要です。
なぜ140Vになるのか
この現象は直列回路の分圧の法則に基づいています。電源電圧が210Vのとき、直列に並んだ抵抗にはその抵抗値の比率に応じて電圧が分配されます。 今回のケースでは、負荷Aの抵抗が50オーム、負荷Bの抵抗が25オームです。抵抗値の合計は75オームとなり、負荷Aはその全体の3分の2(50/75)を占めています。したがって、供給されている210Vの3分の2、つまり140Vが負荷Aに印加されることになります。逆に負荷Bには残りの3分の1である70Vが加わることになります。
実務現場における重要性
この問題は、単に計算式を覚えるためのものではありません。実際の電気工事の現場において、中性線の欠相事故は非常に危険なトラブルとして知られています。
中性線が断線すると、負荷の大きさに応じて各機器にかかる電圧が105Vよりも高くなったり低くなったりします。もし今回の例のように、本来105Vで動くべき機器に140Vという過電圧が印加され続けると、機器の焼損や火災の原因となります。第一種電気工事士の試験においてこの問題が頻出するのは、単相3線式回路における中性線の重要性を技術者として深く理解しておく必要があるからです。工事を行う際、中性線の接続不良がどれほど重大な事故に繋がるかを認識しておくことが、安全管理の要となります。