令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問27 解説 高圧屋内配線工事
高圧屋内配線をケーブル工事で施設する 場合の記述として,誤っているものは。
- イ. 電線を電気配線用のパイプシャフト内に施設(垂直につり下げる場合を 除く)し,8mの間隔で支持をした。 ✓ 正答
- ロ. 他の弱電流電線との離隔距離を30 cmで施設した。
- ハ. 低圧屋内配線との間に耐火性の堅ろうな隔壁を設けた。
- ニ. ケーブルを耐火性のある堅ろうな管に収め施設した。
解説
高圧屋内配線のケーブル工事における支持点間距離の規定を問う問題です。ケーブルを垂直に施設する場合を除き、支持点間距離は2m以下とする必要があります。選択肢イでは8m間隔としているため、これが誤りとなります。
高圧ケーブルの支持点間距離のルール
電気設備の技術基準の解釈では、高圧屋内配線をケーブル工事により施設する場合、ケーブルの自重による損傷を防ぎ、また万が一の短絡時に発生する電磁力に耐えられるよう、支持点間隔に厳格な制限を設けています。
原則として、ケーブルを施設する際の支持点間距離は2m以下と定められています。これは、ケーブルが長期間の重力や熱伸縮によってたるんだり、被覆が損傷したりすることを防ぐための安全マージンです。一方で、垂直に吊り下げて施設する場合は、ケーブル自体の重さで張力がかかるため、支持点間隔は6m以下まで緩和されます。問題文の「8m」という数値は、このいずれの規定にも適合しない長大な距離であり、不適切です。
誤答を導き出す思考のステップ
試験問題を解く際は、まず「数値に関する規定」と「それ以外の措置」を切り分けて考えます。
- 数値を確認する:支持点間距離の「2m」という数字は、高圧屋内配線における頻出知識です。「8m」という数字を見た瞬間に、明らかに規定よりも緩い(長すぎる)という違和感を持つことが重要です。
- 特殊条件を見落とさない:問題文にある「(垂直につり下げる場合を除く)」という注記は、受験者を迷わせるためのトラップであると同時に、ヒントでもあります。垂直以外は2mという原則を適用せよ、という指示と読み替えます。
- 他の選択肢を検証する:残りの選択肢(ロ、ハ、ニ)は、いずれも高圧ケーブルの損傷防止や離隔距離確保に関する「正しい施工方法」です。一つでも明らかに誤りと言い切れる肢があれば、それが正解となります。
現場で求められる安全の概念
この知識は、単に試験に合格するための暗記事項ではありません。実際の電気工事の現場において、ケーブルは「どの程度の重さに耐えられるか」「将来的な経年劣化をどう予測するか」という観点が重要になります。
例えば、パイプシャフト内のような狭隘な空間では、ケーブルを適正な間隔で固定しなければ、壁面との擦れが発生し、絶縁被覆が損傷するリスクがあります。また、電気設備は一度設置すると長期間使用されるため、設置時の施工不良が数年後の地絡事故や火災に直結します。技術基準の数値は、長年の運用実績に基づいた「最低限守るべき安全ライン」です。なぜ2mなのか、なぜ垂直なら6mまで許容されるのかという理由を理解しておくことは、将来的に現場監督や設計に携わる際に、確固たる根拠をもって施工を管理するための力となります。