第一種電気工事士試験 / 令和4年度 第一種 筆記試験 午後 / 問5
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令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問5 解説 三相交流回路

設問図

図のような三相交流回路において、電源電圧は200V、抵抗は8Ω、リアクタンスは6Ωである。抵抗の両端の電圧VR[V]は。

  1. イ. 57
  2. ロ. 69
  3. ハ. 80
  4. ニ. 92 ✓ 正答

解説

この問題は、三相交流回路を1相分だけの単相交流回路に置き換えて考えるのが最短ルートです。以下の3ステップで計算しましょう。

  1. 1相あたりのインピーダンス ZZ を求める。Z=R2+X2=82+62=10[Ω]Z = \sqrt{R^2 + X^2} = \sqrt{8^2 + 6^2} = 10 \, [\Omega]
  2. 1相あたりの電圧(相電圧 VpV_p)を求める。線間電圧 200[V]200 \, [\text{V}]3\sqrt{3} で割って Vp=200/3115.47[V]V_p = 200 / \sqrt{3} \approx 115.47 \, [\text{V}]
  3. 電圧分担の考え方(直列回路の分圧)を用いて、抵抗 RR にかかる電圧 VRV_R を求める。VR=Vp×(R/Z)=115.47×(8/10)92.38[V]V_R = V_p \times (R / Z) = 115.47 \times (8 / 10) \approx 92.38 \, [\text{V}]

結果として、選択肢の「ニ. 92」が正解となります。

三相Y結線回路の基本構造

三相交流回路において、Y結線(スター結線)は中性点を持つ構造です。この回路の重要な性質は、各相が独立して回路を構成しているとみなせる点にあります。線間電圧 200[V]200 \, [\text{V}] は回路の「外側」にかかっている電圧であり、実際に個々の抵抗やリアクタンスにかかる電圧は、中性点との間の電圧(相電圧)となります。

線間電圧 VLV_L と相電圧 VpV_p の関係は VL=3×VpV_L = \sqrt{3} \times V_p です。したがって、相電圧を求めるには線間電圧を 3\sqrt{3} で割る必要があります。この基礎知識は、動力回路の計算において不可欠です。

回路計算における分圧の考え方

今回の問題は、1相分を抜き出すと「電源(相電圧)」に「抵抗」と「リアクタンス」が直列に接続された単純な直列回路になります。直列接続された回路では、全体のインピーダンスに対する特定の素子の比率を全体の電圧にかけることで、その素子にかかる電圧を求めることができます。

インピーダンス ZZ10[Ω]10 \, [\Omega] で、そのうち抵抗分 RR8[Ω]8 \, [\Omega] であるため、この相にかかる電圧の 8/10=0.88 / 10 = 0.8 倍が抵抗の両端電圧となります。これはインピーダンスの三角形(直角三角形)の相似形を利用した考え方でもあり、電気回路計算における非常に強力な武器となります。

実務と教育的意図

この問題が第一種電気工事士試験で問われる背景には、実際の現場で遭遇する「三相誘導電動機」や「三相負荷」の状態を正確に把握する能力を養う意図があります。

実務では、モータの巻線や受電設備のコイル成分が回路全体にどのような影響を及ぼしているかを判断しなければなりません。単に公式を覚えるだけでなく、「回路を1相分に分解して考える」「電圧はインピーダンス比で分担される」という本質的なモデル化の手法を身につけることが、故障診断や機器選定の現場におけるトラブル回避に直結します。

参考リンク

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