令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問1 解説 コンデンサとコイルのエネルギー
図のような直流回路において,電源電圧100V, R=10Ω,C=20μF及びL=2mHで,Lには 電流10Aが流れている。Cに蓄えられている エネルギーWC[J]の値と,Lに蓄えられている エネルギーWL[J]の値の組合せとして, 正しいものは。
- イ. WC=0.001 WL=0.01
- ロ. WC=0.2 WL=0.01
- ハ. WC=0.1 WL=0.1 ✓ 正答
- ニ. WC=0.2 WL=0.2
解説
コンデンサに蓄えられるエネルギー と、コイル(インダクタ)に蓄えられるエネルギー の公式に、与えられた数値を代入して計算します。単位の補助単位( や )を正しく数値に変換することがポイントです。
静電エネルギーと磁気エネルギーの公式
この問題を解くためには、回路素子がエネルギーをどのような形で蓄えるかを知っておく必要があります。
コンデンサ(静電容量 )は電圧 が加わることで電荷を蓄え、そのエネルギー は以下の式で表されます。 [J]
一方、コイル(自己インダクタンス )は電流 が流れることで磁界を発生させ、そのエネルギー は以下の式で表されます。 [J]
どちらも「」という、運動エネルギー()に似た美しい形をしています。
回路図からの数値読み取りと計算
問題の図と条件から、計算に必要な数値を整理します。
コンデンサ について 図を見ると、コンデンサ は電源電圧 に対して並列に接続されています。したがって、コンデンサに加わる電圧 は です。 [F] [V] これらを公式に代入します。 [J]
コイル について 問題文に「 には電流 が流れている」と明記されています。 [H] [A] これらを公式に代入します。 [J]
計算の結果、 [J]、 [J] となり、選択肢の「ハ」が正解となります。
エネルギー貯蔵の理解が実務で重要な理由
この問題は、第一種電気工事士として「電気は流れるだけでなく、蓄えられる性質がある」ことを正しく認識しているかを問うています。
コンデンサのエネルギー計算は、実務においては進相コンデンサの取り扱いや、感電事故の防止に直結します。例えば、高圧受電設備の点検時、電源を遮断した直後のコンデンサには大きなエネルギーが蓄残っており、放電装置で処理しなければ非常に危険です。 に比例してエネルギーが増えるため、高圧回路では特に注意が必要です。
コイルのエネルギーは、遮断機で回路を切り離す際に発生するアーク(火花)の原因となります。電流 に比例するため、大電流が流れている回路を急に開くと、蓄えられた磁気エネルギーが放出され、接点を焼損させたり周囲を破壊したりするパワーを持ちます。
計算自体はシンプルですが、補助単位(:100万分の1、 :1000分の1)の扱いに慣れること、そして「電圧の2乗」と「電流の2乗」という物理的な重み付けを理解することが、試験合格とその後の実務における安全意識に繋がります。