令和3年度 上期 筆記試験 問38 解説 電気工事士の作業範囲
「電気工事士法」において,電圧600V以下 で使用する自家用電気工作物に係る電気工事 の作業のうち,第一種電気工事士又は認定電 気工事従事者でなくても従事できるものは。
- イ. ダクトに電線を収める作業
- ロ. 電線管を曲げ,電線管相互を接続する作業
- ハ. 金属製の線ぴを,建造物の金属板張りの部分に取り付ける作業 ✓ 正答
- ニ. 電気機器に電線を接続する作業
解説
軽微な電気工事の判断基準
この問題は、電気工事士法で規定されている「電気工事士の資格がなくても行える軽微な作業」に該当するかどうかを判断します。結論を出すためのキーワードは「電気的接続を伴わない、単なる工作物の取り付け作業であるか」です。
選択肢のうち、ハの「金属製の線ぴを建造物に取り付ける作業」は、電線の配線作業そのものではなく、支持物を設置するだけの作業であるため、電気工事士の資格を必要としない「軽微な作業」とみなされます。
電気工事士法が定める軽微な工事の考え方
電気工事士法では、原則として電気工事は電気工事士が行わなければなりませんが、例外として「電気工事士でなくても従事できる軽微な作業」が定められています。
判断のポイントは以下の2点に集約されます。
電気的に接続する作業ではないこと 電気機器への電線接続や、電線を管内に収める作業は、接続不良や絶縁性能の低下が直接火災や感電事故に直結するため、必ず電気工事士が行う必要があります。
建造物への固定や単純な工作であること 今回選んだ「金属製の線ぴの取り付け」のような、配線を支持するための部材を建造物側に固定する作業は、電気的特性に影響を与えないため、資格不要の範囲とされています。
具体的には、以下の作業が軽微な作業として挙げられます。
- 電線管の取り付け(ただし管相互の接続は不可)
- 金属製の線ぴの取り付け
- 接地用器具の取り付け
- 配電盤の設置など
選択肢の分析と判別の思考プロセス
試験会場で迷ったときは、各選択肢を「電気回路に直接触れるか、単なる土木・建築作業に近いか」という基準で分類します。
イ:ダクトに電線を収める作業は、電線という回路の一部を扱うため、電気工事士が必要です。 ロ:電線管相互の接続は、管の内部を電気が通るルートを形成する重要な作業であるため、電気工事士が必要です。 ハ:線ぴを建造物に取り付ける作業は、器機を固定する建築的な側面が強く、電気回路そのものを構築する作業とは切り分けられます。 ニ:電気機器への電線接続は、最も基本的な電気工事士の作業項目であり、論外です。
このように、「どこまでが電気工事士の独占業務で、どこからが建築付帯作業であるか」を意識することで、自信を持って回答を選べるようになります。
実務現場における資格の境界線
この知識は、実際の電気工事業務において「どこまでを電気工事士以外の作業員に任せられるか」という現場監督的な視点と密接に関係しています。
例えば、大規模な改修工事現場では、電気工事士がメインの配線作業や結線を行う一方で、線ぴの固定や架台の設置といった補助的な作業を分担して進める必要があります。どの作業を誰が担当できるかを正しく理解しておくことは、法令遵守の観点だけでなく、効率的な人員配置やコスト管理といった実務遂行能力を測る意味でも重要です。