令和3年度 上期 筆記試験 問34 解説 接地用軟銅線の太さ
⑤に示す高圧キュービクル内に設置した 機器の接地工事に使用する軟銅線の太さに関 する記述として、適切なものは。
- イ. 高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の金属製外箱に施す接地線に、 直径2.0mmの軟銅線を使用した。
- ロ. LBSの金属製部分に施す接地線に、直径2.0mmの軟銅線を使用した。
- ハ. 高圧進相コンデンサの金属製外箱に施す接地線に、3.5mm²の軟銅線を使用した。
- ニ. 定格負担100V・Aの高圧計器用変成器の2次側回路に施す接地線に、3.5 mm²の軟銅線を使用した。 ✓ 正答
解説
高圧キュービクル内の接地工事における接地線の太さは、機器の種類および接地工事の種類に応じて、電気設備技術基準の解釈第17条および第29条で細かく規定されています。この問題を解くための最優先事項は、高圧機器の接地工事において「最小太さ」が何mmあるいは何mm²と定められているかを正確に照合することです。
接地工事の規定と太さの判断基準
今回の選択肢に含まれる機器の接地線について、以下の基準を適用します。
イの変圧器(高圧と低圧の混触防止措置)の金属製外箱には、D種接地工事を施す必要がありますが、変圧器の遮断能力や設置環境に応じて適切な太さが求められます。通常、外箱の接地には直径1.6mm以上が求められますが、選択肢の2.0mmは許容範囲内であるものの、他の機器との比較や規定の厳密さにおいて本命ではありません。
ロのLBS(高圧交流負荷開閉器)の金属製外箱には、A種接地工事(高圧機器接地)が必要です。高圧機器の金属製外箱の接地線は、直径4.0mm以上の軟銅線を使用しなければならないと規定されています。したがって、2.0mmでは細すぎるため不適切です。
ハの高圧進相コンデンサの金属製外箱も同様にA種接地工事が必要であり、原則として直径4.0mm以上の軟銅線が必要です。3.5mm²という太さは、直径に換算すると約2.1mm程度であり、規定の4.0mmを満たしていません。
ニの計器用変成器(VTやCT)の2次側回路に施す接地線については、電技解釈第29条により、断面積1.5mm²以上の軟銅線と定められています。したがって、3.5mm²の軟銅線を使用しているニは、規定を十分に満たしており「適切」といえます。
試験問題を解くための論理的ステップ
この問題を解くプロセスは、単純な暗記と分類作業に集約されます。
- 接地対象の特定:問題文が「高圧機器の金属製外箱」なのか「計器用変成器の2次側回路」なのかを判別する。
- 適用すべき接地工事の種類の選定:前者はA種接地工事(ただし変圧器混触防止はD種)、後者は計器用変成器の2次側接地(独自規定)であると特定する。
- 数値の突き合わせ:A種接地は原則4.0mm以上、計器用変成器は1.5mm²以上という数値を照合する。
この問題は、単なる知識の有無を問うだけでなく、高圧受電設備において「どの接地線が共通のルールで、どの接地線が特例的な規定を持つのか」という設計上の重要ポイントを理解しているかを試しています。
実務現場における接地線の意味合い
この知識は、キュービクルの定期点検や更新工事において不可欠です。現場では、接地線の太さが基準を満たしているかは「保安」の根幹に関わります。特に、LBSなどの開閉器は短絡事故時に大電流が流れる可能性があるため、接地線の太さが不足していると、事故電流を確実に大地へ逃がすことができず、キュービクルの筐体が帯電し、感電事故や火災を招く危険があります。
一方で、計器用変成器の2次側接地は、感電防止や計器の基準電位を安定させるためのものであり、外箱接地ほどの太さは要求されませんが、断線や接触不良がないよう確実に接続することが求められます。こうした機器ごとの役割の違いと、それに伴う基準の違いを理解することは、将来、現場代理人や保安技術者として働く際に、図面と現物を照らし合わせる確かな根拠となります。