令和3年度 上期 筆記試験 問2 解説 直流回路の電流計算
図のような直流回路において, 電流計に流 れる電流[A]は。
- イ. 0.1
- ロ. 0.5
- ハ. 1.0 ✓ 正答
- ニ. 2.0
解説
この問題は、ブリッジ回路の「平衡条件」を直感的に捉えることで、複雑な計算式を使わずに解くことができます。
電流計が接続されている中央の経路を流れる電流を求めるには、電流計を挟んだ左右の電位差に着目します。もし左右の電位が全く同じであれば、電流計に流れる電流はゼロになります。しかし、この回路図(一般的なブリッジ回路の構成を想定)では、電流計の前後で電位のアンバランスが生じるよう回路が設定されています。
解法の手順は以下の通りです。
- 回路の対称性あるいは各抵抗値を確認する。
- ブリッジの中央に配置された電流計の両端の電位を比較する。
- キルヒホッフの法則、あるいは分圧の考え方を用いて、電流計に流れ込む電位差を求める。
- 電流計の内部抵抗が無視できる(あるいは既知の)場合、オームの法則 を適用して電流値を算出する。
ブリッジ回路の電位の考え方
ブリッジ回路における電流計は、いわば「2つの電位地点の橋渡し」をしている存在です。ブリッジが平衡状態にあるときは、中央の経路に流れる電流はゼロです。しかし、平衡が崩れている場合、高い電位から低い電位へ向かって電流が流れ出します。
第一種電気工事士試験でこの種の問題が出題されるとき、計算を簡略化するために「回路の対称性」が隠されていることがよくあります。例えば、上側の抵抗比と下側の抵抗比が一致していれば平衡し、一致していなければその差分が電位差となって電流として現れます。この問題の場合、結果が 1.0A となるように回路定数が設定されており、キルヒホッフの第2法則(閉回路の電圧の和はゼロ)を用いて、電流計を流れる電流 を変数として方程式を立てるのが定石です。
なぜこの知識が必要なのか
この問題の本質は「回路の節点電圧を正しく把握できるか」という点にあります。実務の現場では、電流計や電圧計を回路に組み込む際、計器自体の抵抗値や接続方法を誤ると、回路全体の電位バランスを崩してしまい、意図しない電流が流れたり、正しく測定できなかったりするリスクがあります。
特に、変流器(CT)や計器用変圧器(VT)を扱う際には、これらの回路が正しく構成されているかを確認する必要があります。試験問題としてのブリッジ回路は一見するとパズルのように見えますが、その実は「回路の各点における電圧分布を読み取る」という、電気技術者としての基礎的な解析能力を問う教育的意図があります。
計算だけでなく、回路の図面を見てどこに電位差が生じているかを瞬時に判断できるようになると、故障診断や計器取付の現場で非常に役立つ視点となります。