令和3年度 下期 学科試験 問50 解説 計器用変成器の名称
⑩で示す機器の名称は。
- イ. 計器用変圧器
- ロ. 零相変圧器
- ハ. コンデンサ形計器用変圧器
- ニ. 電力需給用計器用変成器 ✓ 正答
解説
図記号から電力需給用計器用変成器(MOF)を特定するには、単線結線図における配置場所と外観的な特徴をセットで覚えるのが一番の近道です。この機器は受電点(引き込み口)の直後に配置され、四角の中に計器用の変圧器(VT)と変流器(CT)が組み込まれていることを示す図記号で表されます。
電力需給用計器用変成器の役割と仕組み
電力需給用計器用変成器は、英語でMetering Out Fitと呼ぶことから、頭文字をとってMOFと略されます。この機器の主な役割は、高圧電路の電圧と電流を、電力量計で計測可能な低い値に変成して供給することです。
高圧回路の電圧(6600Vなど)や大電流を直接電力量計に入れることは、絶縁や精度の面で不可能です。そのため、MOFの内部には以下の2つの機器が一つにまとめられています。
- 計器用変圧器(VT):高電圧を110Vに降圧する
- 変流器(CT):大電流を5Aなどの定格電流に変換する
この「電圧」と「電流」の両方を一つの容器に収めている点がMOFの大きな特徴です。別々に変圧器や変流器を設置する場合と異なり、省スペース化と施工の簡略化が可能になるため、ビルや工場の高圧受電設備において、電力会社との受給電力を計量する場所(計量区分点)に標準的に用いられています。
機器名称を判別するための判断基準
試験問題の図面において、この機器を見分けるポイントは「電力量計(Wh)」との結線関係です。図中で電力量計に向かって線が引き出されている箇所が、まさにこの電力需給用計器用変成器です。
選択肢にある「計器用変圧器」は電圧のみを変成する機器であり、「零相変圧器(ZCT)」は漏電検出などのために回路の地絡電流を検出する機器です。これらはMOFとは異なる目的で使用されるため、図面上の配置場所や、それに続く接続先の計器を見ることで確実に区別できます。MOFはあくまで「電力量計に情報を送るための複合機器である」という点を押さえておけば、迷うことはありません。
現場で求められる知識の意義
第一種電気工事士の試験において、この知識が問われるのは、受電設備全体の構成と各機器の機能を正しく理解しているかを確認するためです。
実務においては、電力会社から供給される電力を適切に管理・計量するための極めて重要な接点となります。もし、MOFの選定や接続を誤れば、正しい電力量の計測ができず、電気料金の計算に影響を及ぼしたり、最悪の場合は保護装置が正常に働かなかったりするリスクがあります。そのため、単なる試験対策として名称を暗記するだけでなく、「受電点から入ってきた電力を、計器が扱える数値に変換するゲートウェイのような存在」として捉えておくことが、現場での理解を深める助けとなります。