第一種電気工事士試験 / 令和3年度 下期 学科試験 / 問8
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令和3年度 下期 学科試験 問8 解説 三相短絡電流の式

線間電圧V[kV]の三相配電系統において, 受電点からみた電源側の百分率インピーダンスZ[%](基準容量:10MV・A)であった。受電点における三相短絡電流[kA]を示す式は。

選択肢図
  1. イ. 10√3Z/V
  2. ロ. 1000/VZ
  3. ハ. 1000/√3VZ ✓ 正答
  4. ニ. 10Z/V

解説

短絡電流を求める公式は、百分率インピーダンス(%インピーダンス)の定義を理解し、単位を整理することで導き出せます。結論から述べると、三相短絡電流をキロアンペア単位で求める式は Is=1000Pn3VZ=10003VZI_s = \frac{1000 P_n}{\sqrt{3} V Z} = \frac{1000}{\sqrt{3} V Z} (基準容量が10MV・Aの場合)となります。

%インピーダンスを用いた短絡電流の導出

%インピーダンス Z[%]Z[\%] とは、定格電圧に対して、そのインピーダンスに定格電流を流したときに発生する電圧降下の割合のことです。短絡事故が発生した際、電源から受電点までのインピーダンスが Z[%]Z[\%] のみであると仮定すると、短絡電流 IsI_s は定格電流 InI_nZ[%]Z[\%] で割った値となります。

Is=100Z×InI_s = \frac{100}{Z} \times I_n

ここで、定格電流 InI_n は基準容量を PnP_n [MV・A]、線間電圧を VV [kV] とすると、以下の式で表されます。

In=Pn×1033VI_n = \frac{P_n \times 10^3}{\sqrt{3} V} [A]

これらを組み合わせて短絡電流 IsI_s [A] を計算すると、以下のようになります。

Is=100Z×Pn×1033V=105Pn3VZI_s = \frac{100}{Z} \times \frac{P_n \times 10^3}{\sqrt{3} V} = \frac{10^5 P_n}{\sqrt{3} V Z} [A]

今回の問題では Pn=10P_n = 10 [MV・A] と指定されているため、代入すると以下の式が得られます。

Is=1063VZI_s = \frac{10^6}{\sqrt{3} V Z} [A]

これをキロアンペア単位(10310^3 で割る)に換算すると、10003VZ\frac{1000}{\sqrt{3} V Z} [kA] となり、選択肢ハが導かれます。

単位換算の重要性

この問題で最も間違えやすいポイントは、各物理量の単位です。計算の途中でメガ(10610^6)やキロ(10310^3)が混在するため、そのまま計算すると桁を誤るリスクがあります。

計算を安定させるコツは、すべての数値を「基本単位」または「計算で指定されている単位」に一度統一することです。今回の場合は、容量を 10×10610 \times 10^6 [VA]、電圧を V×103V \times 10^3 [V] として計算を進め、最後に 10310^{-3} をかけて [kA] に変換する手順を徹底しましょう。このプロセスは、第一種電気工事士試験で頻出する変圧器の容量計算や、保護継電器の設定値検討でも全く同じ考え方を用います。

実務における短絡電流計算の役割

短絡電流の計算は、単なる試験問題ではありません。実際の電力設備設計において、遮断器の選定を行うための必須知識です。遮断器は、万が一短絡事故が起きた際にその電流を安全に遮断できる能力(遮断容量)を持っている必要があります。

もし、この計算を誤って小さな値で見積もってしまうと、選定した遮断器が短絡電流に耐えられず、アークによる溶損や爆発事故を引き起こす恐れがあります。逆に、大きすぎると過剰な性能の機器を選定してしまい、コストが大幅に上昇します。%インピーダンスを用いる手法は、系統全体を簡略化して計算できるため、現場での予備検討において最も汎用性の高いツールとして活用されています。

参考リンク

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