第一種電気工事士試験 / 令和3年度 下期 学科試験 / 問3
certification-simodake-work

令和3年度 下期 学科試験 問3 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路において, 電源電圧は 120V, 抵抗は8Ω, リアクタンスは15Ω, 回 路電流は17Aである。この回路の力率[%] は。

  1. イ. 38
  2. ロ. 68 ✓ 正答
  3. ハ. 88
  4. ニ. 98

解説

この問題は、並列回路における力率の定義式を用いて解くことができます。手順は以下の通りです。

  1. 並列回路の各成分を流れる電流 IRI_R(抵抗)と ILI_L(リアクタンス)を確認する。
  2. 全電流 II と有効電流 IRI_R の比をとることで、力率 cosθ=IR/I\cos \theta = I_R / I を求める。
  3. 計算結果に100を掛けてパーセント表示にする。

並列回路における力率の正体

力率とは、電源から供給される全電流のうち、実際に仕事(熱や光、動力など)に使われる有効電流がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。

今回の図のように、抵抗 RR とリアクタンス XX が並列に接続されている回路では、抵抗には電圧と同相の電流が流れ、リアクタンスには電圧より90度遅れた電流が流れます。このとき、回路全体の電流 II は、有効電流 IRI_R と無効電流 ILI_L をベクトル的に合成したものとなります。

力率 cosθ\cos \theta は、このベクトル図における「全電流に対する有効電流の割合」として定義され、以下の式で表されます。

cosθ=IRI\cos \theta = \frac{I_R}{I}

問題を解くための思考回路

この問題では、抵抗 R=8ΩR=8 \Omega とリアクタンス X=15ΩX=15 \Omega に、それぞれ電源電圧 V=120VV=120 V が加わっています。オームの法則を用いると、各成分を流れる電流は以下のようになります。

有効電流 IR=VR=1208=15[A]I_R = \frac{V}{R} = \frac{120}{8} = 15 [A] 無効電流 IL=VX=12015=8[A]I_L = \frac{V}{X} = \frac{120}{15} = 8 [A]

ここで、問題文に与えられている回路電流 I=17[A]I=17 [A] を見ると、電流のベクトル合成 I=IR2+IL2=152+82=225+64=289=17[A]I = \sqrt{I_R^2 + I_L^2} = \sqrt{15^2 + 8^2} = \sqrt{225 + 64} = \sqrt{289} = 17 [A] となり、計算値と一致することがわかります。

したがって、力率は以下の計算で求められます。

cosθ=IRI=15170.882\cos \theta = \frac{I_R}{I} = \frac{15}{17} \approx 0.882

百分率に直すと約 88 [%] となり、選択肢ハが正解となります。

実務と教育的意図

この問題は、単に数値を代入するだけでなく「並列回路において力率は電流の比として表せる」という本質的な理解を問うています。

現場で力率改善を行う際、私たちはコンデンサを並列に接続して無効電流を打ち消します。このとき、全電流 II が減少し、有効電流 IRI_R が全電流に近づくほど力率は1(100%)に近づきます。力率を改善することは、電線に無駄な電流を流さず、設備を効率的に運用することに直結します。試験で問われるこのような計算問題は、電気設備の効率化という実務の基礎となる重要な概念なのです。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう