第一種電気工事士試験 / 令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問31
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令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問31 解説 避雷器の設置基準

②に示す避雷器の設置に関する記述として,不適切なものは。

  1. イ. 保安上必要なため,避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。
  2. ロ. 避雷器には電路を保護するため,その電源側に限流ヒューズを施設した。 ✓ 正答
  3. ハ. 避雷器の接地は A 種接地工事とし,サージインピーダンスをできるだけ低くするため,接地線を太く短くした。
  4. ニ. 受電電力が 500 kW 未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが,雷害の多い地域であり,電路が架空電線路に接続されているので,引込口の近くに避雷器を設置した。

解説

避雷器(LA)は過電圧を大地に逃がす役割を担う機器です。この問題は「避雷器が動作するメカニズム」を理解しているか、そして「保護対象を壊さないための設備」と「避雷器自体を守るための設備」を混同していないかを問うています。

避雷器の回路構成におけるタブー

避雷器の電源側にヒューズを設けてはならない、というのがこの問題の核心です。避雷器の役割は、雷サージなどの異常電圧が侵入した瞬間に、即座に大地へ電流をバイパスすることです。

もし避雷器の電源側にヒューズを設置してしまうと、大きなサージ電流が流れた際に、避雷器よりも先にヒューズが溶断してしまいます。ヒューズが切れてしまえば、避雷器は電路から物理的に切り離され、肝心の「過電圧を大地へ放電する」という機能を一切果たせなくなります。結果として、避雷器で守ろうとしていた大切な電気機器に直接サージが到達し、機器が焼損する致命的な事態を招きます。

設置技術と基準の考え方

選択肢にある各項目は、電気設備技術基準および解釈に基づいた重要な知識です。

イの断路器については、避雷器が故障(短絡事故など)した際に、電路から切り離して点検・交換を行えるようにするため、現場の運用上非常に重要です。

ハの接地工事については、避雷器の接地抵抗を下げ、かつサージインピーダンスを最小化することが鉄則です。接地線は「太く短く」が基本です。接地線が長かったり曲がりが多かったりすると、そのインダクタンス成分によってサージ電圧が接地線上で発生し、避雷器の放電電圧が期待通りに下がらないためです。

ニの設置基準については、法的な義務と現場のリスク管理のバランスを理解する必要があります。500kW未満では法的義務がない場合でも、雷害リスクの高い地域では積極的に設置することが推奨されます。この問題は、法律の「最低限のライン」と「実務上の安全対策」を区別できるかを試しています。

実務における避雷器の役割

避雷器は、いわば電力系統の「安全弁」です。常に電路の電圧を監視し、異常が起きたときだけ瞬時に反応して大地と短絡させます。実務では避雷器そのものが劣化して短絡事故を起こすこともあるため、断路器とのセット運用は必須です。

また、限流ヒューズを使用するケースがあるとすれば、それは避雷器の電源側ではなく、避雷器が故障したときに電路を切り離すための「保護装置」としての側面があるかを確認する必要があります。しかし、あくまで「放電を妨げないこと」が優先されるため、安易なヒューズ挿入は厳禁です。このように、電気工事の設計は「何のためにその機器があるのか」という目的意識を常に持つことが合格への近道です。

参考リンク

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