平成30年度 第一種 筆記試験 問35 解説 C種接地工事の抵抗値
電気設備の技術基準の解釈では, C 種接地 工事について「接地抵抗値は, 10 Ω (低圧電 路において, 地絡を生じた場合に 0.5 秒以内 に当該電路を自動的に遮断する装置を施設す るときは, □ Ω) 以下であること。」と 規定されている。上記の空欄にあてはまる数 値として, 正しいものは。
- イ. 50
- ロ. 150
- ハ. 300
- ニ. 500 ✓ 正答
解説
この問題は、電気設備の技術基準の解釈におけるC種接地工事の接地抵抗値に関する規定を問うものです。特に、地絡自動遮断装置が施設されている場合の緩和規定を知っているかが判断のポイントとなります。
C種接地工事の接地抵抗値に関する判断
C種接地工事の接地抵抗値は、通常「10 Ω以下」と規定されています。しかし、低圧電路において、地絡が発生した場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは、接地抵抗値が緩和され、「500 Ω以下」でよいとされています。この知識を直接適用することで、空欄には「500」が入ることがわかります。
接地工事の目的と種類を理解する
電気設備における接地工事は、私たちの安全を守り、電気機器を保護するための非常に重要な施工です。万が一の漏電(地絡)が発生した場合に、人体への感電や火災、機器の損傷を防ぐ役割を担っています。
接地工事には、その目的や対象となる電圧、設備の種類に応じてA種、B種、C種、D種の4つの種類があります。
各種接地工事の役割
- A種接地工事: 高圧・特別高圧機器の金属製外箱や避雷器などに施され、感電防止、地絡電流の安全な処理を目的とします。接地抵抗値は通常10 Ω以下です。
- B種接地工事: 変圧器の二次側電路の中性点(低圧側)に施され、高圧側と低圧側の混触事故時(高圧側の電圧が低圧側に侵入した場合)に、低圧電路の対地電圧が危険なレベルに上昇するのを防ぐのが主な目的です。接地抵抗値は、地絡電流の大きさに応じて計算されますが、原則として500 Ω以下となることが多いです。
- C種接地工事: 300V以下の低圧機器(電動機、制御盤など)の金属製外箱などに施され、地絡時の感電防止を目的とします。通常の接地抵抗値は10 Ω以下です。
- D種接地工事: 300Vを超える低圧機器の金属製外箱や、その他の低圧機器の金属製外箱(C種に該当しないもの)に施され、C種と同様に感電防止が目的です。通常の接地抵抗値は100 Ω以下です。
この問題で問われているのはC種接地工事です。
C種接地工事の接地抵抗値と緩和規定の背景
C種接地工事は、低圧の機器が主な対象となるため、比較的低い接地抵抗値(10 Ω以下)が求められます。これは、地絡が発生した際に、速やかに遮断器が動作し、人体に危険な電圧が長時間かかるのを防ぐためです。
しかし、技術の進歩により、最近では高性能な地絡保護装置(漏電遮断器など)が普及しています。これらの装置は、地絡を検知すると非常に短い時間(例えば0.5秒以内)で電路を自動的に遮断することができます。 **「地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設する」**という条件は、まさにこの漏電遮断器などの設置を指します。
このように、短時間で確実に地絡電流を遮断できる場合、人体に危険な電圧がかかる時間が極めて短くなるため、接地抵抗値が多少高くても安全性が確保されると判断されます。そのため、通常の10 Ω以下という厳しい基準を500 Ω以下まで緩和することが認められています。
この緩和規定は、安全性を確保しつつ、接地工事にかかる費用や手間を軽減するという、合理的な判断に基づいています。特に、岩盤地域や地盤が悪い場所など、低い接地抵抗値を実現することが困難な場所での施工において、この緩和規定は非常に有効な選択肢となります。
この問題から学ぶ実務の視点
この問題は単に数値を暗記していれば解ける、という側面もありますが、その背景にある「安全性と経済性のバランス」を理解することが、実務では非常に重要になります。
電気設備の設計や施工を行う際、単に「規定通りに10 Ω以下にすれば良い」と考えるのではなく、「どのような条件なら、よりコストを抑えつつ同等以上の安全性を確保できるか」という視点を持つことが求められます。地絡保護装置の選定や、接地抵抗値の測定、そしてそれらの組み合わせによって最適な接地工事を選択する能力が、第一種電気工事士には必要です。
また、このような緩和規定が設けられていることで、現場の状況に応じた柔軟な対応が可能となり、無駄のない効率的な電気設備工事を実現することができます。