平成30年度 第一種 筆記試験 問28 解説 合成樹脂管工事
合成樹脂管工事に使用できない絶縁電線の種類は。
- イ. 600V ビニル絶縁電線
- ロ. 600V 二種ビニル絶縁電線
- ハ. 600V 耐燃性ポリエチレン絶縁電線
- ニ. 屋外用ビニル絶縁電線 ✓ 正答
解説
この問題は、電気工事で使われる絶縁電線の種類と、それぞれの適切な用途に関する知識を問うものです。合格のためには、各電線の特性と、それらがどのような工事に適しているかを正確に理解しておく必要があります。
簡潔な解き方
合成樹脂管工事は、屋内の露出場所やコンクリート内などに電線を保護して配線する工事です。電線は、使用する場所や目的に応じて適切な種類を選定しなければなりません。
選択肢を見ると、イ、ロ、ハはいずれも屋内配線、特に管内配線に一般的に用いられる絶縁電線です。これに対し、ニの「屋外用ビニル絶縁電線(OW電線)」は、その名の通り屋外の架空配線や露出配線に特化した電線であり、屋外の厳しい環境に耐えるよう設計されています。そのため、屋内の合成樹脂管内に挿入して使用することは、電線の特性上適切ではありません。したがって、合成樹脂管工事に使用できないのは「屋外用ビニル絶縁電線」となります。
絶縁電線の種類と用途
電気工事で使用される絶縁電線には様々な種類があり、それぞれJIS規格で定められた特性と用途があります。この問題の理解を深めるために、主な電線の種類とその特徴を解説します。
- 600Vビニル絶縁電線(IV電線)
- 最も一般的な屋内配線用電線です。主に金属管、合成樹脂管、金属ダクトなどに収容して使用されます。盤内配線にも広く使われます。
- ビニルで絶縁されており、比較的柔軟で加工しやすい特徴があります。
- 耐熱性や耐候性は限定的であるため、高温になる場所や屋外での使用には適しません。
- 600V二種ビニル絶縁電線(KIV電線など、JIS C 3316ではIE電線の一部に分類されるものも含む)
- 基本的な用途はIV電線と同様で、屋内配線や盤内配線に用いられます。
- 「二種」という表記は、絶縁体の性能や耐熱性の違いを示している場合がありますが、第一種電気工事士試験のレベルでは、一般的な屋内配線用としてIV電線とほぼ同等に扱われることが多いです。
- 600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE電線)
- 近年普及が進んでいる「エコ電線」の一つです。IV電線と同様に屋内配線、管内配線に使用されます。
- ポリエチレンを絶縁体に使用しており、燃焼時にハロゲンガスのような有毒ガスや多量の煙を発生しにくいという特性があります。そのため、公共施設や高層ビルなどで環境配慮型配線として採用されることが多いです。
- 屋外用ビニル絶縁電線(OW電線)
- 名称の通り、屋外で使用することを目的とした電線です。
- 絶縁体に耐候性(紫外線、雨水、温度変化などに対する耐久性)に優れたビニルを使用しており、屋外の露出配線や架空配線に適しています。
- 屋内の管内配線に使うことは想定されておらず、その特性から合成樹脂管のような保護管の中に挿入して使う必要性もありません。管内に挿入することで、かえって施工性が悪化したり、電線の特性を十分に活かせなかったりする可能性もあります。
合成樹脂管工事と電線の適性
合成樹脂管工事とは、CD管(コンクリート埋設専用)、PF管(露出配線可能)、VE管(硬質塩化ビニル電線管)などの合成樹脂製の管の中に絶縁電線を通して保護する工事です。これらの管は、電線の機械的保護、絶縁、あるいは美観維持のために用いられます。
この工事で使用する電線は、基本的に「屋内配線用」として設計されたIV電線やEM-IE電線などが適切です。これらの電線は管内に挿入しやすい柔軟性や、屋内の環境下で求められる絶縁性能を持っています。
一方、OW電線は屋外の厳しい自然環境に直接さらされることを前提として作られています。そのため、わざわざ屋内の保護管に入れる必要性がなく、またその硬さや絶縁体の厚みが管内配線には不向きな場合があります。電線の選定は、単に「使えるか使えないか」だけでなく、「最も適切か」という観点も重要です。
なぜ屋外用電線を屋内で使わないのか
この問題の教育的意図は、単に電線の名前を覚えるだけでなく、その名称が示す「用途」を理解することにあります。電気設備技術基準では、電線は「施設場所の状況及び電圧、電流その他の使用条件に適したものでなければならない」と定められています。
屋外用電線を屋内で使用することは、技術基準に直接違反するとは限りませんが、以下のような点で不適切です。
- 経済性: 屋外用電線は耐候性を持たせるためにコストがかかるため、屋内用電線よりも高価な場合があります。不必要な高機能な電線を使うのは無駄です。
- 施工性: 屋外用電線は一般的に絶縁体が厚く、硬い傾向があります。そのため、曲げ加工が必要な管内配線では、屋内用電線に比べて施工が困難になることがあります。
- 効率性: 管内に適切な電線を入れることで、その管が持つ保護性能を最大限に引き出すことができます。不適切な電線を使うと、かえって安全性が損なわれる可能性もゼロではありません。
第一種電気工事士として、これらの電線の特性を理解し、適切な場所で適切な材料を選定する能力は、安全で信頼性の高い電気設備を構築するために不可欠な知識です。