第一種電気工事士試験 / 平成30年度 筆記試験(追加試験分) / 問3
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平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問3 解説 交流回路のリアクタンス

設問図

図のような交流回路において, 電源電圧は100 V, 電流は20 A, 抵抗 R の両端の電圧は80 V であった。リアクタンス X の値 [Ω] は。

  1. イ. 2
  2. ロ. 3 ✓ 正答
  3. ハ. 4
  4. ニ. 5

解説

この問題は、交流回路におけるインピーダンス、抵抗、リアクタンスの関係を理解しているかを問うものです。与えられた電圧、電流、抵抗の両端電圧から、まず回路全体のインピーダンスと抵抗の値を求め、その関係式を用いてリアクタンスを算出します。

回路の基本要素と関係性

この交流回路は、電源、抵抗 RR、リアクタンス XX が直列に接続されています。

  • 電源電圧 VV: 回路全体にかかる交流電圧です。ここでは100 Vです。
  • 回路電流 II: 回路を流れる交流電流です。ここでは20 Aです。
  • 抵抗 RR: 電流の流れを妨げる要素で、熱としてエネルギーを消費します。抵抗の両端にかかる電圧(電圧降下)が80 Vと与えられています。
  • リアクタンス XX: コイル(インダクタンス LL)やコンデンサ(キャパシタンス CC)が持つ、交流電流の流れを妨げる性質です。ここでは、コイルによる誘導性リアクタンスまたはコンデンサによる容量性リアクタンスのいずれかと考えられます。問題文では「リアクタンス XX」と総称されています。

これらの要素の関係は、オームの法則と交流回路特有のインピーダンスの概念で表されます。

オームの法則

抵抗 RR におけるオームの法則は、 VR=I×RV_R = I \times R で表されます。ここで VRV_R は抵抗 RR の両端電圧です。

インピーダンス

交流回路全体における電流の流れにくさ(抵抗とリアクタンスを合わせたもの)をインピーダンス ZZ と呼びます。オームの法則を交流回路全体に適用すると、V=I×ZV = I \times Z となります。

インピーダンス、抵抗、リアクタンスの関係

直列接続された抵抗 RR とリアクタンス XX からなる交流回路のインピーダンス ZZ は、以下の関係式で表されます。 Z2=R2+X2Z^2 = R^2 + X^2 これは、複素数平面上でインピーダンスをベクトルとして考えた場合に、インピーダンス ZZ が抵抗 RR とリアクタンス XX のベクトル和(または差)となることから導かれます。抵抗は実数軸、リアクタンスは虚数軸に対応します。

問題を解くための思考プロセス

  1. 回路全体のインピーダンス ZZ を求める 電源電圧 V=100 VV = 100 \text{ V} と回路電流 I=20 AI = 20 \text{ A} が与えられているので、インピーダンス ZZ はオームの法則から以下のように求められます。 Z=VI=100 V20 A=5 ΩZ = \frac{V}{I} = \frac{100 \text{ V}}{20 \text{ A}} = 5 \text{ } \Omega

  2. 抵抗 RR の値を求める 抵抗 RR の両端電圧 VR=80 VV_R = 80 \text{ V} と回路電流 I=20 AI = 20 \text{ A} が与えられているので、抵抗 RR はオームの法則から以下のように求められます。 R=VRI=80 V20 A=4 ΩR = \frac{V_R}{I} = \frac{80 \text{ V}}{20 \text{ A}} = 4 \text{ } \Omega

  3. リアクタンス XX の値を求める 求めたインピーダンス ZZ と抵抗 RR の値、およびインピーダンスと抵抗・リアクタンスの関係式 Z2=R2+X2Z^2 = R^2 + X^2 を用いて、リアクタンス XX を求めます。 Z2=R2+X2Z^2 = R^2 + X^2 52=42+X25^2 = 4^2 + X^2 25=16+X225 = 16 + X^2 X2=2516X^2 = 25 - 16 X2=9X^2 = 9 X=9=3 ΩX = \sqrt{9} = 3 \text{ } \Omega (リアクタンスの値は通常、正の値で表されます。)

したがって、リアクタンス XX の値は 3 Ω\Omega です。

この知識が活きる場面

この問題で問われているインピーダンス、抵抗、リアクタンスの関係は、電気工事士試験だけでなく、電気工学全般において非常に基本的な、かつ重要な概念です。

  • 配線設計: ケーブルの抵抗や、モーターなどの誘導性負荷から発生するリアクタンスを考慮して、適切な太さのケーブルを選定したり、電圧降下や力率を改善するための設備(進相コンデンサなど)を計画したりする際に、インピーダンスの計算は不可欠です。
  • 電気機器の選定: 電気機器の定格電圧や定格電流だけでなく、内部のインピーダンスやリアクタンスの特性を理解することで、より効率的で安定した動作を実現する機器を選定できます。
  • トラブルシューティング: 回路に異常が発生した場合、電圧や電流の測定値からインピーダンスやリアクタンスの異常を推測し、原因究明の手がかりとすることができます。例えば、コイルが断線するとリアクタンスがゼロになり、回路全体のインピーダンスが変化します。

この問題は、直流回路のオームの法則から一歩進んで、交流回路特有の「見かけ上の抵抗」であるインピーダンスと、その構成要素である抵抗とリアクタンスの関係を理解しているかを試す、典型的な問題と言えます。これらの概念をしっかりとマスターすることで、より複雑な交流回路の問題にも対応できるようになります。

参考リンク

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