平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問1 解説 電磁力の方向
図のように, 磁束密度 B の磁界中に, 磁界の方向と直角に置かれた直線状導体(長さ L)に電流 I が流れると, その導体に電磁力 F=LIB が発生するが, その電磁力の方向を知るために用いられる法則は。
- イ. フレミングの右手の法則
- ロ. クーロンの法則
- ハ. フレミングの左手の法則 ✓ 正答
- ニ. キルヒホッフの法則
解説
磁界中の電流が受ける力の方向を求める問題です。問題文で「電磁力の方向を知るために用いられる法則は」と問われているため、電磁力(ローレンツ力の一種)の方向を決定する法則を選ぶ必要があります。選択肢の中に、まさにその目的のために使われる法則である「フレミングの左手の法則」が含まれています。
電磁力発生のメカニズム
磁界の中に置かれた導体に電流が流れると、その導体には力が働きます。これは、電流が磁場と相互作用することによって生じる現象で、電磁力と呼ばれます。この電磁力の大きさは、磁束密度の大きさ 、導体の長さ 、流れる電流の大きさ 、そして磁界の方向と電流の方向とのなす角 によって決まり、 という式で表されます。問題文の図では、磁界の方向と導体の方向が直角()であり、 なので、 となっています。
力の方向を知るための指針
電磁力の大きさは上記の式で表されますが、この問題で問われているのは「力の方向」です。磁界、電流、そしてそれによって生じる力の方向の間には、一定の法則性があります。これを直感的に理解し、素早く判断するために用いられるのが「フレミングの法則」です。
フレミングの法則には、「右手の法則」と「左手の法則」の二つがあります。
- フレミングの右手の法則: これは、磁界の中で導体が動くことによって電流(誘導電流)が発生する(発電する)場合の、誘導電流の向きを求める法則です。
- フレミングの左手の法則: こちらは、磁界の中で電流が流れている導体が受ける力の向きを求める法則です。
問題文では、「磁界の方向と直角に置かれた直線状導体(長さ L)に電流 I が流れると、その導体に電磁力 F=LIB が発生するが, その電磁力の方向を知るために用いられる法則は」と問われています。これは、まさに磁界と電流が存在する状況で「電磁力」の方向を問うているため、フレミングの左手の法則が適用されます。
選択肢の検討
- イ. フレミングの右手の法則: 発電(誘導起電力)の向きを求める法則であり、ここでは不適切です。
- ロ. クーロンの法則: クーロンの法則は、点電荷間に働く静電気力を表す法則であり、磁界中の電流に働く力とは直接関係ありません。
- ハ. フレミングの左手の法則: 磁界中の電流が受ける力の方向を求める法則であり、問題に合致しています。
- ニ. キルヒホッフの法則: キルヒホッフの法則は、電気回路における電流と電圧の関係を表す法則であり、ここでは力の方向を求めるものではありません。
したがって、正解は「ハ. フレミングの左手の法則」となります。
実生活での応用
フレミングの法則は、電気工学の根幹をなす法則の一つです。
- フレミングの左手の法則: モーターの原理を理解する上で不可欠です。電気モーターは、磁界中のコイルに電流を流すことで回転力を得ており、その回転力の方向を決定するのがこの法則です。身近なところでは、扇風機、洗濯機、電気自動車の駆動モーターなど、あらゆる電気機器の動力源となっています。
- フレミングの右手の法則: 発電機や変圧器の原理を理解する上で重要です。発電所で作られる電気や、家庭で使われる交流電流は、この法則に基づいて生み出されています。
これらの法則を理解することで、電気機器がどのように動いているのか、なぜ電気エネルギーが生まれるのかといった根本的な仕組みを把握することができます。