平成29年度 上期 筆記試験 問42 解説 保護継電器記号
②で示す機器の略号(文字記号)は。
- イ. ELR
- ロ. DGR ✓ 正答
- ハ. OCR
- ニ. OCGR
解説
受電設備の図記号(単線結線図)において、地絡事故を検出する装置が設置されている箇所を見つけ、その名称を特定します。特に地絡保護を目的とした継電器を探すことが正解への近道です。
保護継電器の役割と略号
受電設備で用いられる保護継電器には、それぞれ役割に応じた固有の略号が付けられています。
・ELR:漏電リレー(Earth Leakage Relay)。主に低圧回路で使用されます。 ・DGR:方向性地絡継電器(Directional Ground Relay)。高圧受電設備において、地絡電流の方向を判別し、事故回線を特定して遮断するために用いられます。 ・OCR:過電流継電器(Over Current Relay)。過負荷や短絡電流を検出します。 ・OCGR:地絡過電流継電器(Over Current Ground Relay)。地絡事故を検出しますが、方向性を持ちません。
今回の図面が「高圧受電設備」であることを踏まえると、零相変流器(ZCT)と組み合わせて使用される地絡保護装置として、DGRが最も適切であると判断します。
機器選定の思考プロセス
問題図における配置構成を確認します。地絡保護装置は、通常、零相変流器から入力信号を受け取ります。このとき、単なる過電流ではなく「地絡」を検出するのか、さらにその地絡が「自構内での発生か、配電系統側での発生か」を区別する必要があるのかを考えます。
高圧受電設備では、系統側に地絡事故が発生した際、受電側の遮断機までトリップしてしまうと広範囲で停電が発生します。これを防ぐため、地絡電流の方向を検知できるDGRを採用し、構内での事故のみを確実に遮断するように設計します。問題図に示された機器がどのような保護範囲を担っているかを見極めることが、正解を導くための鍵となります。
実務における重要性
この知識は、現場での保守・点検を行う際に必須となります。例えば、受電盤内の試験においてDGRの動作試験を行う際は、試験器を用いて電圧(零相電圧)と電流(零相電流)の位相関係をシミュレートします。略号を正確に理解していなければ、計器の接続ミスや誤動作を引き起こす可能性があるため、単なる暗記ではなく、機能的な役割(なぜ方向性が必要なのか)を理解しておくことが実務上の安全にも直結します。
また、近年の自家用電気工作物では、高圧ケーブルの地絡事故に対する保護が強化されており、DGRの重要性はますます高まっています。試験勉強を通じて各継電器の略号を整理しておくことは、単なる資格試験対策にとどまらず、将来的に設備管理を行う上での基礎教養となります。