平成29年度 上期 筆記試験 問34 解説 高圧進相コンデンサ
⑤に示す高圧進相コンデンサに用いる開閉 装置は,自動力率調整装置により自動で開閉でき るよう施設されている。このコンデンサ用開閉 装置として,最も適切なものは。
- イ. 高圧交流真空電磁接触器 ✓ 正答
- ロ. 高圧交流真空遮断器
- ハ. 高圧交流負荷開閉器
- ニ. 高圧カットアウト
解説
高圧進相コンデンサの自動開閉には、頻繁な開閉動作に耐えられる高い耐久性が必要です。選択肢の中でこの条件を唯一満たすのが、高圧交流真空電磁接触器(VMC)です。他の機器は保護や手動切り替えが主目的であり、自動制御には適していません。
自動開閉器に求められる性能と電磁接触器の役割
進相コンデンサは、負荷の状態に応じて力率を改善するために、自動力率調整装置(APFR)からの指令を受けて頻繁に「入・切」を繰り返します。この際、開閉器には以下の性能が求められます。
・高い開閉頻度に耐える機械的および電気的な耐久性 ・アーク(火花)を確実に消弧する能力
高圧交流真空電磁接触器(VMC)は、真空中でアークを消す構造を採用しており、非常に寿命が長く、頻繁な開閉操作に適しています。そのため、高圧進相コンデンサの自動開閉用として最も一般的に採用されています。
機器ごとの機能と使い分けの基準
試験において各機器を区別するためには、その機器が「何を目的としているか」を整理することが重要です。
・高圧交流真空遮断器(VCB) 主に事故電流(短絡電流など)を遮断し、回路を保護するために用いられます。性能は非常に高いですが、高価であり、かつ電磁接触器に比べると頻繁な開閉には適していません。
・高圧交流負荷開閉器(LBS) 正常な負荷電流を開閉することはできますが、短絡電流のような大きな故障電流を遮断する能力はありません。基本的に手動操作や、保護装置との組み合わせで使用されることが多く、自動力率調整による頻繁な開閉には向きません。
・高圧カットアウト(PC) 主にコンデンサなどの機器の直前に設置し、過電流が流れた際に溶断して回路を切り離すための保護装置です。ヒューズを用いるため、一度動作すると交換が必要となり、自動開閉には全く適していません。
実務における位置付け
この問題は、現場における「機器の適材適所」を問うものです。単に「回路を入り切りできるものを選べばよい」のではなく、その用途が「自動制御による頻繁なもの」なのか「事故時の保護を目的とするもの」なのかによって、選定すべき機器が決定されるという実務的な論理を理解しておく必要があります。高圧受電設備において、どの機器がどの役割を担っているかを把握しておくことは、電気工事士として安全かつ適切な設計やメンテナンスを行うための基礎知識となります。