平成28年度 筆記試験 問50 解説 機器の特定と個数
⑤で示す部分に設置する機器と個数は。
- イ.
- ロ.
- ハ.
- ニ. ✓ 正答
解説
この問題は、写真に示された機器が何であるかを見抜き、その回路構成上必要な個数を判断することで正解にたどり着けます。
まず写真の機器は、ドーナツ状の鉄心に二次巻線が巻かれた零相変流器(ZCT)です。これを用いて地絡を検出する回路では、高圧受電設備において欠かせない保護機能が求められます。試験図面における⑤で示す部分は、保護すべき回路の分岐箇所や受電点に関連しており、三相回路の地絡を一括して検出するために必要なZCTの適切な設置数を見極める必要があります。今回の選択肢では、図記号および実物の形状を考慮し、回路の保護対象数に合わせて2個設置するニが正解となります。
零相変流器の役割と仕組み
零相変流器(ZCT)は、電路の地絡電流を検出するための機器です。正常な状態では、三相の電流のベクトル和はゼロになります。しかし、地絡が発生すると、漏電した電流分だけベクトル和がゼロにならず、この不平衡電流をZCTが検出して地絡継電器(GR)へと信号を送ります。
この機器は、中心の穴に電路となる電線を一括して貫通させることで、各相の電流バランスを監視します。高圧受電設備では、受電点から複数の負荷へ供給する分岐回路ごとに、あるいは保護協調の観点から個別の系統を監視するために、必要に応じて複数のZCTを設置する設計がなされます。
機器選定の思考回路
試験においては、まず写真が何を表しているかを判別することが第一歩です。中央が空洞になっている変流器を見たら、まず零相変流器(ZCT)を疑ってください。次に、配線図面を確認し、どこに設置されているかを見ます。もし配電盤の設計図において保護対象が複数ある場合や、特定のフィーダーごとに保護を分ける必要がある場合は、その数に合わせた個数が選定されます。今回のように2個と判断されるケースでは、系統の分離や、主回路と分岐回路など、監視範囲を分ける意図が隠されています。
現場で求められる実践的な知識
実際の現場でZCTを扱う際、最も注意すべきは貫通させる電線の通し方です。電線を一度にまとめて貫通させる必要がありますが、遮蔽層(シールド)がある場合は、その接地線も適切に処理しなければ、正しい地絡電流を検出しません。また、設置個数の設計は、事故発生時にどの範囲まで停電させるかという「保護協調」の考え方に直結します。
この問題を通じて、単に試験の正解を選ぶだけでなく、機器の物理的形状と、それを回路図に落とし込んだ際の保護範囲という「設備全体の設計意図」を読み取る力を養うことが重要です。