第一種電気工事士試験 / 平成28年度 筆記試験 / 問18
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平成28年度 筆記試験 問18 解説 架空送電線の雷害対策

架空送電線の雷害対策として,適切なものは。

  1. イ. がいしにアークホーンを取り付ける。 ✓ 正答
  2. ロ. がいしの洗浄装置を施設する。
  3. ハ. 電線にダンパを取り付ける。
  4. ニ. がいし表面にシリコンコンパウンドを塗布する。

解説

この問題は、架空送電線における雷対策の典型的な知識を問うものです。雷によって送電線に過電圧が発生した際、がいしが損傷することを防ぐための防護装置を選べば正解にたどり着けます。

アークホーンの役割と雷過電圧対策

雷が架空送電線に直撃したり、近傍に落雷して誘導雷が発生したりすると、送電線には非常に高い電圧が加わります。この電圧ががいし装置の耐電圧を超えると、がいしの表面や空間を飛び越えて電柱(鉄塔)側に放電する「フラッシオーバ」が発生します。

このとき、もし対策がないとがいしそのものに強力なアーク(火花放電)が集中し、がいしが割れたり溶けたりして破壊されてしまいます。これを防ぐために取り付けられるのがアークホーン(放電角)です。アークホーンは、がいしと並列に設置された金属製の角状の電極です。過電圧が発生した際、がいし自体ではなくアークホーンの端部間で先に放電させることで、がいしへの損傷を回避する役割を担います。

正解に至る判断のプロセス

試験本番では、選択肢がそれぞれどのような目的で設置されているかを照らし合わせることで判断します。

・イ. がいしにアークホーンを取り付ける。 → これは前述の通り、雷によるフラッシオーバからがいしを保護するための装置です。雷対策として適切です。

・ロ. がいしの洗浄装置を施設する。 → これは「塩害」対策です。海岸付近などでがいし表面に塩分が付着し、絶縁性能が低下するのを防ぐために行われます。

・ハ. 電線にダンパを取り付ける。 → これは「電線振動」対策です。風によって送電線が振動し、素線が断線したりクランプ部が摩耗したりするのを防ぐために取り付けられます。

・ニ. がいし表面にシリコンコンパウンドを塗布する。 → これもロと同様に「塩害」対策の一種です。シリコンの撥水性を利用して、表面の導電を防ぎます。

このように、他の選択肢は雷とは異なる現象(塩害や機械的振動)に対する対策であるため、これを除外することで消去法でも正解を選べます。

送電技術における防護の考え方

この問題は、電力系統の運用において「どの設備にどのような外乱(雷、風、塩分など)が加わるか」を理解しているかを問うています。送電線は広範囲にわたるため、あらゆる環境にさらされます。その一つひとつに対して、故障を最小限に抑え、停電時間を短縮するための対策が施されています。

アークホーンによる保護は、単にがいしを守るだけでなく、放電後に遮断器で瞬時遮断し、再び送電を再開する(再閉路)という系統保護の連携プロセスにおいても極めて重要な役割を果たしています。実務の現場では、雷頻度の高い地域において、アークホーンの種類や形状を最適化することで、雷による事故停止率を最小化する設計が行われています。

参考リンク

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