平成27年度 筆記試験 問15 解説 電磁調理器の原理
写真で示す電磁調理器の発熱原理は。
- イ. 誘導加熱 ✓ 正答
- ロ. 抵抗加熱
- ハ. 誘電加熱
- ニ. 赤外線加熱
解説
写真に示された機器が電磁調理器(IHクッキングヒーター)であることを認識し、その加熱方式が「磁力線による誘導加熱」であることを想起して選択肢を選びます。
誘導加熱のメカニズム
電磁調理器の内部には加熱コイルが埋め込まれています。このコイルに高周波電流を流すと、コイルの周囲に磁界が発生します。鍋をその上に置くと、鍋底を貫く磁界が変化し、電磁誘導の法則によって鍋底に「渦電流」が発生します。
鍋自体が持つ電気抵抗により、この渦電流が流れる際にジュール熱が発生し、鍋そのものが発熱します。これが誘導加熱(IH:Induction Heating)の原理です。ヒーター本体は熱くならず、鍋だけが効率よく加熱される仕組みです。
混同しやすい加熱方式との違い
試験では他の加熱方式と比較して覚えることが重要です。
ロ. 抵抗加熱 ニクロム線などの電気抵抗体に電流を流し、発生した熱を利用する方式です。トースターや電気こたつなどがこれに該当します。
ハ. 誘電加熱 高周波電界の中に絶縁物を置き、分子の摩擦熱で加熱する方式です。電子レンジが代表例です。電子レンジは水分子を振動させて加熱しますが、IHは磁界を利用して金属に電気を流して加熱するため、原理が明確に異なります。
ニ. 赤外線加熱 赤外線放射による熱伝導を利用した加熱です。電気ストーブなどがこれにあたります。
実務における知識の重要性
電気工事士として現場に携わる際、IHクッキングヒーターの施工や保守を行う場面は多々あります。単に結線を行うだけでなく、なぜ特定の金属鍋でなければならないのか、なぜ磁界が発生するのかといった原理を理解しておくことは、顧客への説明やトラブルシューティングにおいて大きな強みとなります。特に誘導加熱は、金属の性質を巧みに利用した技術であるため、電磁気学の基礎が実生活の家電にどのように落とし込まれているかを知る良い題材です。
この問題は、電気機器の分類とエネルギー変換の基礎知識を問うものであり、試験において頻出の分野です。それぞれの方式が「磁界を使うのか、電界を使うのか、直接電流を流すのか」という視点で整理しておくと、誤答を避けることができます。