平成27年度 筆記試験 問4 解説 交流回路の力率
図のような交流回路において, 電源電圧は 200V, 抵抗は20Ω, リアクタンスはX[Ω], 回路電流は20Aである。この回路の力率[%]は。
- イ. 50 ✓ 正答
- ロ. 60
- ハ. 80
- ニ. 100
解説
この問題は、回路全体のインピーダンス を求め、抵抗 との比率から力率 を導き出すことで解けます。手順は以下の通りです。
- オームの法則 により、回路全体のインピーダンス を計算します。 [Ω]
- 力率の定義式 に、与えられた [Ω] と求めた [Ω] を代入します。 となり、1を超える値になるため、この回路図は並列接続であることを読み取る必要があります。
並列回路における力率の解釈
直列回路であればインピーダンスの合成は となりますが、並列回路の場合は電流のベクトル和で考えます。全電流 は、抵抗を流れる電流 とリアクタンスを流れる電流 のベクトル和となり、 が成り立ちます。
この回路における抵抗に流れる電流 は、 [A] です。 力率は で求められますので、 パーセント表記に直すと [%] となります。
交流回路におけるベクトルと成分分解
交流回路では、単純な足し算が通用しません。抵抗は電圧と同相の電流を流し、リアクタンスは電圧に対して90度位相がずれた電流を流すという性質があります。そのため、回路の接続形式(直列か並列か)によって、どの物理量を基準にして計算すべきかを判断することが重要です。
直列回路であれば電圧の三角形、並列回路であれば電流の三角形を描くことで、誤った計算を避けることができます。今回は「電流が20A」と与えられていたため、電流の三角形を用いて計算を進めるのが最短ルートです。
現場で求められる力率改善の考え方
力率は、供給された電力のうち、実際に仕事として消費された割合を示す重要な指標です。電気工事の現場において、力率が低いことは、無効電力(仕事に寄与しない電力)が多く流れていることを意味します。
例えば、工場などで大きな誘導電動機(モーター)を動かす際、力率が低いと電線に余計な電流を流す必要があり、配線の電圧降下や損失を増大させます。そのため、力率改善用のコンデンサを設置して、リアクタンス成分を相殺させる対策が行われます。この問題で求められている「力率を計算する」というプロセスは、将来的に電気設備の省エネ化や電力損失低減を検討する際、最も基礎的かつ必須となるスキルなのです。