平成25年度 筆記試験 問39 解説 第一種電気工事士
電気工事士法において、第一種電気工事士に関する記述として、誤っているものは。
- イ. 自家用電気工作物で最大電力 500〔kW〕未満の需要設備の非常用予備発電装置に係る電気工事の作業に従事することができる。 ✓ 正答
- ロ. 自家用電気工作物で最大電力 500〔kW〕未満の需要設備の電気工事の作業に従事するときは、第一種電気工事士免状を携帯しなければならない。
- ハ. 第一種電気工事士免状の交付を受けた日から 5 年以内ごとに、自家用電気工作物の保安に関する講習を受けなければならない。
- ニ. 第一種電気工事士試験に合格しても所定の実務経験がないと第一種電気工事士免状は交付されない。
解説
電気工事士法における第一種電気工事士の定義と義務に関する問題です。誤っている選択肢である「イ」を見抜くには、第一種電気工事士が作業できる範囲、特に「500kW未満の自家用電気工作物」に関する規定を正しく理解しているかが鍵となります。
第一種電気工事士が従事できる工事範囲の境界線
選択肢イが誤っている理由は、そもそも「最大電力500kW未満」の需要設備であれば、第一種電気工事士の資格を必要としないからです。
電気工事士法において、電気工事は大きく「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」に分けられます。自家用電気工作物については、さらにその規模によって第一種電気工事士の独占業務かどうかが分かれます。
- 最大電力500kW未満の自家用電気工作物:第二種電気工事士でも作業が可能(第一種電気工事士の独占業務ではない)。
- 最大電力500kW以上の自家用電気工作物:第一種電気工事士のみが作業可能。
つまり、500kW未満の需要設備における工事は、第一種電気工事士の「専権事項(資格がないとできないこと)」ではないため、選択肢イのような限定的な言い回しや、あたかも「第一種電気工事士でないとできない」かのような記述は、法的な枠組みとして不適切です。
資格の携帯と保安講習のルール
選択肢ロとハは、第一種電気工事士が遵守すべき義務についての正しい記述です。
まず、電気工事を行う際には免状を携帯しなければならないというルール(ロ)は、本人確認と有資格者であることの証明のために極めて重要です。現場で抜き打ちの点検や事故調査が行われた際、免状を提示できないと法令違反となります。
また、保安講習(ハ)も重要です。第一種電気工事士免状の交付を受けた者は、免状交付日を基準として5年以内ごとに、経済産業省令で定める定期講習(保安講習)を受講しなければなりません。これは技術の進歩や安全基準の変化に対応し、常に高い保安意識を維持することを目的とした制度です。
実務経験の重要性
選択肢ニが正しい理由は、第一種電気工事士が「500kW以上の電気工作物」という、一歩間違えれば重大事故につながる設備の保安に深く関与するためです。
試験に合格しただけでは、机上の知識はあっても現場での判断力や安全確保の技術が身についているとはみなされません。そのため、試験合格後に経済産業省令で定められた期間(原則3年以上)の「電気工事の実務経験」を積むことで初めて免状が交付される仕組みになっています。これは、単なる知識の証明ではなく、安全に業務を遂行できる「経験者」としての証明を求めていることを意味します。
試験問題の意図を理解する
この問題は、単に資格の範囲を問うだけでなく、電気工事士という職業が持つ社会的責任を問うています。
- 自分がどの範囲の工事を「独占」できるのかという権限の理解
- 常に最新の保安知識をアップデートする必要性(講習義務)
- 免状というライセンスが現場で常に携帯されるべきというプロ意識
- 実務経験が免状交付の必須条件であるという社会的信頼の背景
これらの知識は、現場に立った際に「自分が今、法令上のどの立場で作業をしているのか」を客観的に判断するための判断基準となります。特に500kWという数値は、第一種電気工事士の境界線として今後何度も目にする数字ですので、しっかり暗記しておきましょう。