平成24年度 筆記試験 問39 解説 電気工事業法
電気工事業の業務の適正化に関する法律に おいて、電気工事業者の業務に関する記述と して、誤っているものは。
- イ. 営業所ごとに、絶縁抵抗計の他、法令に定められた器具を備えなければ ならない。
- ロ. 営業所ごとに、電気工事に関し、法令に定められた事項を記載した帳 簿を備えなければならない。
- ハ. 営業所及び電気工事の施工場所ごとに、法令に定められた事項を記載 した標識を掲示しなければならない。
- ニ. 営業所ごとに、法令に定められた電気主任技術者を選任しなければ ならない。 ✓ 正答
解説
電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)における「営業所の義務」に関する問題は、主語と義務の内容を正確に照らし合わせることで正誤を判断します。本問では「電気工事業者が営業所に備えるべきもの・選任すべきもの」の区分けが鍵となります。
電気工事業法における営業所の義務とは
電気工事業を営む者は、消費者の利益を保護し、工事の欠陥による災害を防止するために、営業所ごとに厳格な義務が課せられています。
まず、器具の備え付け(選択肢イ)については、絶縁抵抗計や接地抵抗計、回路計など、電気工事の安全を確保し、正しく施工するための必須器具を所有しておく必要があります。次に、帳簿の備え付け(選択肢ロ)は、施工した工事の内容や時期、顧客の情報を記録し、万が一の不具合発生時に追跡を可能にするための義務です。そして、標識の掲示(選択肢ハ)は、その営業所が電気工事業の登録や届出を適切に行っている事業者であることを公的に明示するものです。
これらはいずれも「電気工事業法」に定められた、事業を行うための基本的な条件となります。
なぜ電気主任技術者の選任は誤りなのか
誤りである選択肢ニの「電気主任技術者」は、電気工事業法ではなく「電気事業法」に基づいて登場する資格です。
電気主任技術者は、自家用電気工作物などの保安管理を行うために選任されるべき人物であり、これは電気工作物の「所有者(設置者)」に義務付けられている事項です。電気工事業者はあくまで工事を請け負う立場であり、工事現場ごとに主任技術者を選任するのは発注者側(または保安規程上の責任者)の役割です。
試験対策としては、以下の整理が有効です。 ・電気工事業法:営業所の看板(標識)、記録(帳簿)、仕事の道具(器具)、専門家(電気工事士)の配置が主な義務。 ・電気事業法:電気工作物の維持・運用・保安が主なテーマ。
実務における位置付け
この問題は、電気工事士として将来的に独立や起業を考えた際に、最低限知っておくべき「法的なルールブック」の一部を問うています。
もし将来、電気工事業の登録を行うことになれば、営業所には必ず上記の器具を備え付け、帳簿を作成し、標識を掲示しなければなりません。これらを怠ると行政処分の対象となるだけでなく、顧客からの信頼を失うことにも直結します。
一方で、電気主任技術者の選任は、より大きなビルや工場などの受変電設備を持つ側が意識すべきルールです。試験では、このように「事業法(電気事業法)」と「適正化法(電気工事業法)」の管轄を混同させるひっかけ問題が頻出します。「自分は何をしているとき(工事をしているときか、電気設備を維持・管理しているときか)」を主語として考える癖をつけると、正誤判定の精度が格段に上がります。