平成24年度 筆記試験 問27 解説 バスダクト工事
展開した場所のバスダクト工事に関する記述として、誤っているものは。
- イ. 低圧屋内配線の使用電圧が400〔V〕で、かつ、人が触れるおそれがないように、接触防護措置を施したので、ダクトにはD種接地工事を施した。
- ロ. 低圧屋内配線の使用電圧が200〔V〕で、かつ、湿気が多い場所での施設なので、屋外用バスダクトを使用し、バスダクト内に水が浸入してたまらないようにした。
- ハ. 低圧屋内配線の使用電圧が200〔V〕で、かつ、人が触れるおそれがないように、接触防護措置を施したので、ダクトの接地工事を省略した。 ✓ 正答
- ニ. ダクトを造営材に取り付ける際、ダクトの支持点間の距離を2〔m〕として施設した。
解説
この問題は、バスダクト工事における接地工事の省略条件に関する知識を問うものです。誤りを見抜くためには「接地工事の省略には厳格な条件がある」という原則を理解し、特に低圧バスダクトにおける防護措置と接地省略の関係を整理することが鍵となります。
接地省略の判断基準
バスダクト工事における接地工事の省略については、電気設備技術基準の解釈第29条で定められています。ここでのポイントは「人が触れるおそれがあるか」と「防護措置の有無」です。
本来、金属製のダクトなどは漏電時に感電を防ぐために接地(D種接地工事)が必要です。しかし、以下のいずれかの条件を満たす場合には接地工事を省略できます。 ・乾燥した場所に施設する場合 ・対地電圧が150V以下であって、人が容易に触れるおそれがないように施設する場合 ・人が触れるおそれがないように絶縁性の防護措置を施した場合
問題の選択肢ハにおいて「接触防護措置を施せば接地を省略できる」という記述が誤りとされる理由は、バスダクトの金属外箱そのものの安全性を担保する規定と、誤認しやすい緩和規定を混同させようとする試験の意図があるからです。特に低圧屋内配線において、単に接触防護措置があるという理由だけで、接地工事を無条件に省略して良いわけではない点に注意が必要です。
試験での思考プロセス
選択肢を吟味する際は、以下のステップを踏むのが効率的です。
- バスダクトの接地工事に関する原則を確認する。金属製の筐体は原則として接地が必要である。
- 省略可能条件を思い出す。「乾燥」「対地電圧150V以下かつ接触不可」「防護措置」などのキーワードと照らし合わせる。
- 選択肢ハの内容を検討し、特定の条件のみを強調して「常に省略可能」といったニュアンスになっていないか確認する。
問題文が「誤っているものを選べ」という形式である以上、正解の選択肢は「条件が不十分である」「または技術基準の解釈に反する」という性質を持っています。今回のハについては、接地を省略するための規定を正しく適用できていない点が不適切であると判断します。
バスダクト工事と現場の安全性
バスダクトは工場や大型商業施設などで、大容量の電力を効率よく送電するために多用されます。これらは大電流を扱うため、万が一の地絡事故が発生した際の影響が大きくなります。そのため、接地工事は単なる手続きではなく、保護装置を確実に動作させ、事故電流を地面へ逃がすための極めて重要な安全対策です。
試験では「省略できる条件」ばかりに目が行きがちですが、実務では「なぜ接地が必要なのか」という本質を理解していることが重要です。試験問題を解くことは、法規の知識を暗記するだけでなく、将来の現場で「この条件下で接地を省略しても本当に安全か」という判断力を養う訓練でもあります。