平成23年度 筆記試験 問36 解説 D種接地工事の対象
自家用電気工作物として施設する電路又は機器について、D種接地工事を施さなければならないものは。
- イ. 定格電圧 400〔V〕の電動機の鉄台
- ロ. 高圧計器用変成器の二次側電路 ✓ 正答
- ハ. 6.6〔kV〕/210〔V〕の変圧器の低圧側の中性点
- ニ. 高圧電路に施設する避雷器
解説
接地工事の種別を特定する手順
この問題は、対象となる機器や電路に対して、電気設備技術基準で定められた接地工事の種類が何かを即答できるかを問うものです。基本的には、以下の分類を暗記していることがスタート地点となります。
- A種:高圧・特別高圧機器の鉄台、避雷器(接地抵抗値 10Ω以下)
- B種:変圧器の高圧側と低圧側を混触した際の保護(多重接地など複雑な計算が必要)
- C種:300Vを超える低圧機器(接地抵抗値 10Ω以下、ただし0.5秒以内の遮断装置があれば500Ω以下)
- D種:300V以下の低圧機器(接地抵抗値 100Ω以下、ただし0.5秒以内の遮断装置があれば500Ω以下)
本問では「高圧計器用変圧器の二次側電路」という特例的な扱いを覚えているかどうかが正解の鍵となります。
各選択肢の根拠と接地種別
それぞれの選択肢について、なぜその接地工事が必要なのかを確認しましょう。
イ. 定格電圧400Vの電動機の鉄台 300Vを超える低圧機器の金属製外箱には、C種接地工事(またはD種接地工事を適用し、かつ0.5秒以内に遮断する装置を設ける場合)が必要です。したがって、D種のみで良いとする選択肢としては不適切です。
ロ. 高圧計器用変圧器の二次側電路 計器用変圧器(VT)の二次側回路には、混触防止や電位の安定化を目的として接地を施す必要があります。技術基準では、高圧計器用変圧器の二次側電路にはD種接地工事を施すことと定められています。これが正解です。
ハ. 6.6kV/210Vの変圧器の低圧側の中性点 低圧電路の絶縁破壊時に備え、変圧器の低圧側にはB種接地工事を施す必要があります。これは高圧電路と低圧電路を混触させた際に、低圧側の対地電圧が異常上昇するのを防ぐための極めて重要な接地です。
ニ. 高圧電路に施設する避雷器 避雷器はサージ電流を迅速に大地へ逃がす必要があるため、最も抵抗値の低いA種接地工事が要求されます。
実務における接地設計の考え方
接地工事の種類を覚えることは、単なる試験対策にとどまりません。現場で電気設備の計画や保守を行う際、「どの程度の信頼性が求められるか」を判断する指標そのものだからです。
例えば、D種接地が要求される場面は、漏電した際に人体が感電するリスクを低減するための防護手段です。一方でA種やB種接地は、高電圧系統のトラブルが波及して火災や感電死に至るような「重大事故」を防ぐための土台となります。
この問題のように「計器用変圧器の二次側」という、普段あまり意識しないような細かい部分にも接地が義務付けられているのは、その機器を通じて測定値が誤ることを防いだり、計器に触れた作業者の安全を守ったりするためです。試験勉強を通じて「なぜこの設備にこの接地が必要なのか」という背景(安全性、計器の精度、事故時の波及防止)を意識することで、電気設備全体を俯瞰する能力が養われます。