平成22年度 筆記試験 問32 解説 進相コンデンサと直列リアクトル
③に示す進相コンデンサと直列リアクトルに関する記述として、誤っているものは。
- イ. 直列リアクトル容量は、一般に、進相コンデンサ容量の5[%]のものが使用される。 ✓ 正答
- ロ. 直列リアクトルは、高調波電流による障害防止及び進相コンデンサ回路の開閉による突入電流抑制のために施設する。
- ハ. 進相コンデンサに、開閉後の残留電荷を放電させるため放電装置を内蔵したものを施設した。
- ニ. 進相コンデンサの一次側に、保護装置として限流ヒューズを施設した。
解説
この問題は、直列リアクトルの標準的な容量選定に関する知識を問うています。「容量の5%」という数値が誤りであり、正しくは「6%」であるという点を見抜くことが合格への鍵です。
直列リアクトルの役割と選定基準
直列リアクトルは、進相コンデンサと直列に接続されるリアクトルです。主な目的は、回路内の第5高調波による過電圧や過電流の抑制、およびコンデンサ投入時の突入電流を制限することにあります。
日本の配電系統では、第5高調波が顕著に発生しやすいため、これに共振しないように設計する必要があります。コンデンサの容量を 、リアクトルの容量を としたとき、リアクトル容量の比率を と定義すると、一般的に (インダクタンスで表すとコンデンサの約6%)が標準です。
試験では「5%」という数字が紛らわしい選択肢として頻出します。「5ではなく6」と語呂合わせのように記憶しておくことが有効です。
誤答を見抜くための論理的プロセス
この種の問題は、正確な数値を問う「知識問題」です。
- 直列リアクトルの容量比として「5%」という選択肢を見る。
- 標準値は「6%」であることを即座に想起する。
- 数値の不一致を確認し、これが「誤っている記述」であると判断する。
- 他の選択肢(ロ、ハ、ニ)が直列リアクトルやコンデンサの施設における正しい記述であることを確認し、回答を確定させる。
特に選択肢ハの「放電装置」は、残った電荷による感電事故や機器の破損を防ぐために必須であり、選択肢ニの「限流ヒューズ」も、コンデンサ内部短絡故障時の波及事故防止に欠かせない設備です。これらが正しいと分かれば、消去法的にもイが誤りであると確信を持てます。
実務現場における直列リアクトルの重要性
電気工事士として現場に出た際、高圧進相コンデンサを設置する機会は多々あります。このとき、単にコンデンサを取り付けるだけでなく、なぜ直列リアクトルが必要なのかという「高調波対策」の視点を持つことが重要です。
もし高調波に対する設計を誤ると、コンデンサやリアクトルの異常過熱、ひいてはヒューズの溶断や火災に繋がる恐れがあります。試験で問われる数値は、単なる暗記項目ではなく、現場の機器を保護し、電力品質を維持するための最小限のルールとして定められています。この問題を通じて、高調波とリアクトルの関係性を理解しておくことは、設計・施工・保守のあらゆる場面で役立つ基礎知識となります。