第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(法規 No.1) 問12 解説 試験電波の聴守
無線局が無線機器の試験又は調整のため電波の発射を必要とするとき、発射する前に自局の発射しようとする電波の周波数及びその他必要と認める周波数によって聴守して確かめなければならないのは、次のどれか。
- 1. 非常の場合の無線通信が行われていないこと。
- 2. 他の無線局の通信に混信を与えないこと。 ✓ 正答
- 3. 他の無線局が通信を行っていないこと。
- 4. 受信機が最良の状態にあること。
解説
電波を発射するときの大原則は「他人の通信の邪魔をしないこと」です。電波を出す前に周波数を確認(聴守)する目的は、他の無線局に「混信を与えないこと」を確かめるためである、と判断します。
電波を出す前のルール「混信の防止」
無線機器が正常に動くかどうかをテストしたり、調整したりするために電波を発射することを、試験電波の発射と呼びます。このときに最も重要視されるのが、他者への配慮です。
電波は、限られた共通のスペース(周波数帯)をみんなで分け合って使っています。もし、誰かがすでに使っている周波数で突然テスト用の電波を出してしまうと、その通信を妨害(混信)してしまいます。そのため、電波法では電波を出す前に必ず、その周波数や関係する周波数で誰も通信していないこと、つまり混信を与えないことを耳で聞いて(聴守して)確かめるように義務づけています。
選択肢を絞り込む思考プロセス
試験問題で迷いやすい選択肢を、電波法の目的や実態に照らし合わせて整理していきます。
「非常の場合の無線通信が行われていないこと」について
非常通信(災害時などの緊急の通信)の有無を確認することは極めて重要ですが、それだけを確かめればよいわけではありません。日常の一般的な通信に対しても、試験電波による混信を与えてはならないため、この選択肢は言葉の範囲が狭すぎます。
「他の無線局の通信に混信を与えないこと」(正解)
これが法律(電波法第56条など)で定められた直接の目的です。試験電波を出すことで、現在行われている他の通信を妨害しないことを確認することが求められます。
「他の無線局が通信を行っていないこと」について
一見すると正しいように思えますが、厳密には他の無線局が通信を行っているかどうかそのものを完全に把握することは不可能な場合があります。例えば、非常に遠くの無線局同士が通信していて、こちらには片方の声しか聞こえない(あるいは全く聞こえない)状況でも、こちらが電波を出すことでその通信の受信側に混信を与えてしまう可能性があります。法律上の義務としては、聞こえる範囲をしっかりと聴守し、自分の電波が混信を与えないことを確認するという表現が正確です。
「受信機が最良の状態にあること」について
これは自分の機器の都合(メンテナンス)であり、周囲の無線局に対する義務ではありません。電波を発射する前の聴守義務は、他者への妨害を防ぐために存在します。
実際の運用に役立つ電波利用のモラル
この知識は、アマチュア無線技士として免許を取得し、実際にトランシーバーを手にして電波を出すときに最も頻繁に実践するマナーそのものです。
現実の運用では、試験電波を出す(例えばアンテナの調整のために電波を送信する)際、単に無音であることを確認するだけでなく、音声で「こちらは(自分のコールサイン)、試験電波を発射します」とアナウンスを入れてから一瞬だけ送信する、といった具体的な作法があります。
また、アンテナから実際に電波を空中に放出せずに機器のテストを行うダミーロード(模擬空中線)というアクセサリーを使用することも、混信を与えないための代表的な技術的アプローチです。電波の性質を理解し、お互いに譲り合って貴重な電波資源を共有するという、アマチュア無線の紳士的な精神がこの問題の背景にあります。